学生の窓口編集部

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1月23日放送、「ニュース」(NHK)では、画像の盗用がないか自動で判定するシステム。人工知能を使って研究論文に画像の流用がないかどうかを自動的に判定するシステムを東京大学発のベンチャー企業「LPixel」が開発した。コンピューターに研究論文に使う画像を入力すると、人工知能が300以上の特徴から別の論文に使われた画像と似たものがないか調べる。この人工知能には与えられた情報を基にみずから学習するディープラーニングと呼ばれる技術が使われている。画像が加工されていても人の目では見つけられないような特徴を見つけ出す。そして画像の流用などをほぼ100%の精度で見つけ出せるという。

これらのツールを開発し、無料配布したことは画期的。画像不正の検出が容易になることで、安易な不正の防止、研究者のモラル向上、査読審査の効率化などが期待できる。研究者間でこうしたツールをいかすことで、情報共有のネットワークが広がって、研究協力などのプラスの効果も考えられる。今後もユーザーのフィードバックを取り入れ、多くの研究者と協力して精度向上に向けて製品を改善していく。また特定用途向けのカスタマイズやビジネス用途などの相談も受けつけている。

このシステムでは顕微鏡などで撮影したライフサイエンスの研究画像の類似性を計算して転用を検出する。ライフサイエンス研究画像には他の画像と異なる特有の特徴があり、高精度の類似画像検索をするためにはそれらの特徴を有効に利用することが必要だ。長年のバイオイメージング分野の研究で培ったノウハウをいかして、ディープラーニングも活用した高精度の類似画像検索システムを実現した。

科学論文をめぐる不正は世界中で問題となっており、テキストの転用チェックソフトウェアの導入は進んでいる。だが画像に関する対策は技術的に難しく、チェックがされていなかった。今後はこのシステムを利用して研究者にとっても意図しない画像の不正転用を防ぐことが可能となる。

アジアを中心とした学術誌の編集などが集まるタイのASM2016で発表され、活用を提案する。これにより研究機関や学術誌の編集者が性善説に頼らず画像の不正転用を防げるようになるので、今後は論文不正などの大きなトラブルはこれによって激減するだろう。