デーブ・スペクター公式サイト「スペクター・コミュニケーションズ」より

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 中居正広ら4人が生謝罪という名の"公開処刑"に晒されて約1週間。世間では「どうして中居くんたちが謝らなくちゃいけないの?」「こんなかたちではSMAPは死んだも同然」という声が広がっているが、相変わらずスポーツ紙やテレビのワイドショーはジャニーズ事務所側の意向を垂れ流し、コメントする芸能人たちも奥歯にものが挟まったような言葉ばかり。社会の人びとが感じているモヤモヤなど、まったく無視するかのような報道が行われている。

 それを象徴するようなシーンが、きょう放送された『サンデー・ジャポン』(TBS)で繰り広げられた。

 放送では、SMAP報道の1週間をVTRで振り返り、スタジオではテリー伊藤が「やっと落ち着きましたよね」などと発言。他の番組と同様、無難なコメントや太田のくだらない茶化しだけで終わるんだろうと思っていたら、その空気を打ち破った人物がいた。

 レギュラーコメンテーターとして出演していたデーブ・スペクターだ。デーブは「言っていいですか?」と切り出し、こんな話をはじめたのだ。

「世間的に違和感があると思いますよ。でも(報道しているのは)全部スポーツ新聞や週刊誌だけなんですよ。日常的に(SMAPを)使っているからテレビ局がいちばんパイプあるのに、一切独自取材してないんですよ。そういった意見っていうか声がたくさんあるのに、なんか違和感あるんですよね」

 まさにSMAP報道の問題点を提起するコメントだが、このデーブの発言にスタジオは完全に凍りつき、沈黙が支配。普段は、"辛口コメント"を売りにしているテリー伊藤も一切何も言わない。MCの太田光は完全に目が泳ぎ、「どういう違和感だろう?」とぼそぼそつぶやくのが精一杯。レギュラーコメンテーターの西川史子にいたってはわざとらしく「違和感?」と首をひねってみせていた。

 しかし、デーブはお得意のダジャレも封印し、真剣な表情で「これだけデカい芸能ニュースなのに、スポーツ新聞は別に直接関係ないんですよ、テレビ局いちばん関係あるのに、『自分たちでこう調べました』が一切ないんですよ」と繰り返しテレビのSMAP報道を批判。そして、「日本の芸能界と、事務所、テレビのあり方がすごく浮き彫りになっちゃった」と問題の本質にまで切り込んだのだ。

 スタジオはさらに重苦しい空気に包まれた。これから、何が起きるんだろう、とワクワクしながら見ていたら、杉村太蔵がいきなり割って入って、「そんなことよりですね、今回の独立騒動なんて、一般の企業ではよくあることなんですよ」と話を混ぜ返した。結局、デーブのコメントについては誰も触れないまま、なかったことのように流され、番組は進行してしまった。

「テレビは取材しないのか」という真っ当すぎるコメントさえ、MCの爆笑問題をはじめ、ひな壇の芸能人たちをピリつかせてしまう──。まさに異常な光景としか言いようがないが、逆にいえば、スタジオの芸能人たちはみんな「それを言うのはNG」とよく知っているのだ。

 実際、その後になって、太田光が総括的なコメントをしていたが、それも「SMAPをかわいそうというのは、彼らに失礼だ」なんていう、本当にあたりさわりのないものだった。

 本サイトでは何度も言及してきたし、前述もしたが、第一報以降、芸能マスコミはジャニーズ側、つまりメリー喜多川副社長におもねった情報しか出していない。スポーツ紙の報道だって、既報の通り、それは第一報の翌々日発売だった「週刊新潮」(新潮社)が"メリー氏からのパワハラが発端で飯島マネージャーが独立に動き出した"と解散危機の裏側を記事にするとの情報を掴んだジャニーズ側が、「新潮」の発売前に御用メディアのスポーツ紙を使って"飯島氏が中居らをそそのかしSMAPを分裂に追いやった"と先手を打ったにすぎなかった。

 絶対的な権力を笠に着て自分たちに有利なように情報をコントロールしようとするジャニーズも醜いが、さらに醜いのはジャニーズに揉み手で乗るスポーツ紙。そして、この芸能マスコミの歪な構図のなかでスポーツ紙以上に罪深いのは、デーブの指摘通り、テレビ局である。

 デーブの言葉にもあるように、この間、テレビはどの局も独自取材というものをまったく行っていない。やることと言えば、ただスポーツ紙をボードに貼り付け、紙面の文章を読み上げるだけ。つまり、ジャニーズサイドにコントロールされた情報だと知りながら、それを検証することなく流布しつづけているだけなのだ。

 しかも、これまたデーブが言っていたように、テレビ局はSMAPメンバーをバラエティ番組やドラマで起用しており、関係も深いため、今回の騒動が表面化するずっと前から解散危機にあることを掴んでいたはずなのだ。事実、フジテレビは昨年の段階で飯島マネージャーに近い番組制作スタッフを人事異動によって現場から外している。それはメリー氏がいよいよ本格的に飯島外しを画策していることを察知し、ジャニーズに忠誠を誓うための人事だといえる。

 さらに、テレビのSMAP報道のタチが悪いのは、独自に取材しないだけではなく、スポーツ紙の情報を垂れ流したうえに、コメンテーターたちに「ジャニーズ批判はNG」と睨みをきかせていることだろう。一昨日、本サイトでは『白熱ライブ ビビット』(TBS)と『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)にレギュラーコメンテーターとして出演している"夜回り先生"こと水谷修氏が〈テレビの世界では、ジャニーズという名前だけで禁句となる〉とブログに綴ったことを紹介したが、これは水谷氏だけに限った話ではない。実際、本サイトの取材でも、ワイドショーの制作現場スタッフから「事前にコメンテーターから『どういう意見をもっているか』と聞き取りを行い、批判をしそうな人物には話題を振らない方針をとっている」という証言も得ている。

 ようするに報道とは名ばかりで、結局「ジャニーズには逆らわない」という一点でしかテレビ局は動いていないのだ。そもそも、真実を報道しようとすれば、どうやってもジャニーズの強権的なやり方を暴露してしまう。だからこそ、独自取材などできるはずもなく、世間でいくら「あれでは公開処刑だ」「メリーさんがやっていることはパワハラでは?」という意見があふれても、テレビはその"世論"さえも取り上げない。そして、テレビ局のほうが上の立場を取れる弱小事務所サンミュージックに所属するベッキー不倫問題を渡りに船とばかりに大きく報じるのだ。

 たしかに今回のSMAP問題は、デーブが言うように、テレビ局がいかに力のある芸能事務所の言いなりであるかをはっきりと白日の下に晒した。だが、一方に有利なように歪められた報道をただ電波に乗せるなど、そんな話がまかり通っていいわけがない。すべての元凶はジャニーズ事務所の体質にあることは明白だが、中居らの心をズタズタにしているという意味では、テレビだって同罪であるはずだ。
(大方 草)