日本でも6人に1人いる貧困家庭の子どもが社会問題になっているが、貧困が幼い子どもの神経の発達に悪影響を与えていることが、米ハーバード大と台湾・陽明大の国際協力の研究で明らかになった。

国際精神医学誌「IJE」(電子版)の2015年12月16日号に発表された。

「あやしても笑わない」「目を合わせない」子どもたち

研究チームは、1959年と1974年に、米国の様々な経済状況の母親から生まれ、健康データが残っている計3万6443人を対象に調査した。出生時、生後4か月、1歳、7歳の時点で医師が行なった神経学的な検査を参考にした。神経学的検査とは、(1)年齢に応じた発達をしているか(2)あやしたら笑うか(3)目を合わせるか(4)異常な反射や運動はないか、などの症状を見ることだ。

その結果、貧困家庭に生まれた子どもは、そうでない家庭の子どもに比べると、神経の発達に異常が出やすいことがわかった。その割合は成長するにつれて増えていき、生後4か月では20%増だったのが、1歳で35%増、7歳で67%増になった。

貧困だと、なぜ子どもの発達に異常が出やすいのか。研究チームでは「胎児の段階で栄養不足なのか、生後も食事や教育が不十分なのか、虐待が起こりやすいのか、など様々な可能性がありますが、はっきりした理由はわかりません。ただ、子どもの全体的な神経の発達のためには、幼少期の環境が非常に重要であることは確かです」と結論づけている。