90分間では目立った仕事ができなかった中島(10)。しかし、延長戦では強烈なミドル2本を叩き込み、イランの戦意を削いだ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 終始、イランに攻め込まれて勝ち目はないかと思ったが、結果的に3ゴール奪って勝利した。選手たちには「よく頑張った」と言いたい。内容はともかく、結果が出た。手倉森監督もホッとしたんじゃないかな。U-22アジア選手権、仁川アジア大会でともに8強の壁に阻まれてきただけに、相当なプレッシャーもあったはずだからね。
 
 試合を振り返ると、守備陣がよく踏ん張った。誰が出てもハードワークができて、ディフェンスの集中力は高かった。前半からあれだけイランに攻められたにもかかわらず無失点に抑えたんだから、大したものだ。守護神の櫛引、CBの岩波、植田をはじめ、SBの亀川や室屋も粘り強い守備を見せていた。U-23代表が守備をベースに作られていることをあらためて感じさせるゲームだった。
 
 攻撃面に関して言えば、中島のプレーを評価したい。90分間のプレーだけを見れば、相手に身体を寄せられてなかなかボールが収まらず、ドリブルも簡単に抑えられてばかり。なぜ、交代させないんだろうか、と思ったくらいなにもできていなかった。駄目出しをしようと思っていたくらいだ。
 
 しかし、延長に入って目の覚めるようなミドルシュートを2本も叩き込んだので思い直した。やはり彼は只者ではない。先制点を奪われ、イラン守備陣の集中力が途切れていたとはいえ、疲労が蓄積してくるであろう時間帯に角度のないところからあんな強烈なシュートは決められない。そこは、彼のポテンシャルの高さがうかがえる部分で、10番を背負うだけの選手なのだと思う。
 
 
 無失点で勝利し、ひとつの山を乗り越えて自信もついただろう。ただ、アジアレベルの相手に勝つのは当たり前で、今大会での優勝、さらに言うと、世界で戦うならこの内容で満足してもらっては困る。
 
 特にこの試合では、個々の距離感が悪く、味方をサポートする動きがあまり見られなかったのが気になった。例えば、ルーズボールの処理。相手陣内からのロングボールをCBが撥ね返した際、本来ならいち早く中盤の底の選手が反応すべきだ。しかし、ポジショニングが悪くそのボールをすべて相手に拾われ、簡単に2次攻撃に持ち込まれるシーンが目立った。こんなプレーをしていたら、準決勝で足をすくわれかねない。
 
 さらに言えば、相手のプレッシャーをどうかわすかも見えてこない。仮にルーズボールを味方が拾っても、周囲との距離感が悪ければパス交換をしながら相手のプレッシャーをはがすことはできない。この試合の日本がそうだったように、躊躇している間にボールをかっさらわれてシュートまで持ち込まれる可能性は高くなる。
 
 それに、無失点で勝利した背景には、相手のミスやゴールポストに助けられ部分もあった。準決勝で再び運に恵まれるかはわからないし、UAEやイラクは、はっきり言ってイランより手ごわい。ちょっとした隙を突いてくるチームなので、味方との距離感やサポートする動きの修正は不可欠だ。
 
 今大会はコンディション作りが上手くいっている印象なので、しっかり体力を回復させて準決勝に臨むはずだ。イラン戦での課題を踏まえながら、次のゲームも勝ち切ってぜひリオ五輪行きを決めてもらいたい。