20日から21日にかけて、中国政府や中国企業による中東やギリシャへの融資、投資、無償資金援助などさまざまな資金投下の話題が相次いだ。(イメージ写真提供:123RF)

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 20日から21日にかけて、中国政府や中国企業による中東やギリシャへの融資、投資、無償資金援助などの話題が相次いだ。経済成長の鈍化や外貨準備高の急速な減少が注目される中国だが、一方では国外への大量の資金投下も目立つ。

 エジプトを訪問した中国の習近平・国家主席は、エジプト中央銀行への10億ドル(約1176億円)融資とパレスチナへの5000万ドル(約58億8000万円)の無償援助を表明した。

 エジプトは中東のアラブ国家のなかで、権威や格式が認められる大国だが、石油を産出しないこともあり、財政面では余裕に乏しい。習主席は21日、訪問先のエジプトの首都カイロでシーシー大統領と会談し、同国との関係強化を表明。外貨不足が深刻なエジプト中央銀行に10億ドルの融資を行うと表明した。

 さらに、中国側が同国国立銀行のナショナル・バンクに対して7億ドルの融資枠を設けることも決まった。資金は、中国とエジプトが共同で進める同国におけるインフラ建設に役立てられるという。

 また、中国石油天然気集団公司(CNPC)と中国石油化工(中国石化、シノペック)はサウジアラビア国営石油会社のサウジアラムコと、製油施設建設のための投資で「煮詰まった協議」を行っているという。

 一方、習近平主席はパレスチナに5000万ドルの無償援助を行うことを決めた。日本はパレスチナ自治政府の「特別な地位」は認めているが、国家としては承認していない。中国は1988年に国家承認しているので「パレスチナ国に対しての援助」という形になる。

 パレスチナ国承認が1992年のイスラエル国家承認よりも早かったことでも示されるように、中国は極めて早い時期からアラブ諸国との関係構築に努力してきた。中国は一方で、イランともできる限り、密接な関係を維持してきた。イランも中国を信頼しており、2015年にイランが核開発断念を受け入れたことも、中国の説得が大いに奏功したとされる。

 現在はサウジアラビアとイランの対立がエスカレートしている。場合によっては、中国が仲裁役を買って出ることもありえる。中国にとって中東の安定と対アラブ諸国、対イランの良好な関係は、絶対に維持したいからだ。しかし中国にとっては仲裁役を務めることは、どちらかの一方、あるいは両方からの信頼を失うリスクもある。習主席訪問時にパレスチナへの無償援助を発表したことは、「アラブ諸国の心をさらにしっかりとつかむ」ための布石と理解できる。

 一方、新華社によると、中国の国有企業である中遠集団(COSCO)が20日までに、ギリシャのピレウス港運営会社の株式の67%を買収することが決まった。

 同港はギリシャ国営だったが、同国政府の財政立て直しのために売却されることになった。COSCOはまず、1株22ユーロ、計2億8050万ユーロ(役358億円)で株式の51%を取得し、その後5年以内に8800億ユーロを追加出資して、最終的に株式の67%を取得する。

 中国は、中東やギリシャへの資金投下を、習政権が推進する世界規模の経済圏・流通経路構築である「一路一帯」の一環と位置づけている。(編集担当:如月隼人)