日本通信 代表取締役社長の福田尚久氏

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 日本通信は22日、事業戦略発表会を開催した。総務省によるタスクフォースにより、日本通信が求めていた規制緩和が実現。これを受けて、同社では”日本通信の役割を再定義”していくという。

■MVNO規制緩和第2弾が実現

 事業戦略発表会は、総務省によるタスクフォースの結果をおさらいするところからスタートした。登壇した日本通信 代表取締役社長の福田尚久氏は、大手通信事業者がシェアを独占する携帯電話市場で、MVNOがハンデを抱えながら展開する現状を「大リーグに少年野球団が試合を申し込んだが、ギプスをはめた状態で戦っている」と表現。ギプスと表現されているのは「接続料算定問題」および「技術的制約」の2つで、日本通信では、この点に関して規制緩和を行うよう、国に繰り返し申し入れしてきた。それがようやく実現する運びとなった。福田氏は「ひとことで言えば、MVNO規制緩和第2弾。想像していた以上に前向きな回答だった。この機会を最大限に活用して、我々の役割を果たしていきたい」と表情を明るくした。

■接続料の透明性と、技術的制約の開放

 接続料に関しては、透明性の担保が課題だった。今後は大手3社が算定の根拠を提出することが義務付けられる。「ドコモと日本通信では、これまで接続料の算定を巡り法廷で争ってきた。今後は1社で戦っていく必要がなくなった」と福田氏。これにより、接続料は引き下げられる見込みだという。

 また技術的制約に関しては、特に「HLR/HSS連携機能」の開放を求めていた。加入者管理機能と呼ばれるもので、HLR/HSS連携機能が開放されることにより、MVNOが独自のSIMを発行・調達できるようになる。これにより、MVNO事業者、消費者にはどのようなメリットがあるのだろうか。

 ここで福田氏は、日本通信および携帯電話市場のこれまでの歩みを振り返った。2011年にb-mobileブランドで月額980円のSIM(いわゆるイオンSIM)を提供開始して、格安SIMの先駆けとなった日本通信。「携帯電話事業者以外からSIMが買える、という認識を消費者に浸透させた。いまではすっかり市民権を得ている」と評価する一方で、「しかし携帯契約数に占めるMVNOのシェアは、2015年3月末でわずか2.1%にしか達していない」と指摘する。今後、市場を活性化させるためには価格競争だけでなく、サービスの多様化競争が必要だという。

■10の新サービスを展開

 「格安SIM市場で現在、利益をあげられている会社さんはひとつもない。技術的制約という障害を取り除き、サービスを活性化させなければならない」と福田氏。”ギプス“が外れることで、日本通信では次のサービスを提供できるとしている。それは、デュアル・ネットワーク、グローバルマルチキャリアSIM、グローバル無線専用線、通話定額、フルIP電話、ユニバーサル電話番号、NFC決済、決済プラットフォーム、IoT向けセキュアサービス、SIMソリューションの10におよぶサービス。HLR/HSS連携機能が開放されるか否かは、この中の多くのサービスが提供できるかどうかを決定する大きな問題だった。

 具体的な利用シーンを挙げて説明すれば、例えばNTTドコモの「カケホーダイ」のような、現在は大手通信会社のみが提供できている通話定額の仕組みを導入できるようになる。1つのSIMで国内の複数の通信会社の回線が利用できるほか、同じSIMが海外でも利用可能になる。訪日旅行客向けにはプリペイドの音声SIMも提供できる。NFC決済にも対応する。福田氏は「音声定額が実現できれば、本格的にMVNOがメイン回線になる」と説明する。

 グローバル無線専用線の提供が目的としているのは、セキュリティの担保だ。「極端な話をすると、アジアのホテルでPCを使いたいとき、当地のWi-Fiを利用したらVPN接続でも情報は筒抜けだと覚悟した方が良い。しかしPCにドングルを挿して、無線による専用線でやりとりすれば、情報は一切外部に漏れずにすむ」と同氏。IoT、M2M、FinTech、EdTech、MedTech、自動運転、ロボットといった分野で”インターネット×専用線“の需要が高まっており、爆発的な経済創出効果が期待できるという。