錦織圭の勝利を決めたのは、センターをとらえた13本目のサービスエースだった――。

 オーストラリアンオープン(全豪)2回戦で、第7シードの錦織圭(ATPランキング7位、1月18日付け、以下同)は、オースティン・クライチェク(103位、アメリカ)を6−3、7−6(5)、6−3で破り、メルボルンで6年連続の3回戦進出を決めた。

 2回戦が行なわれた日、午前中から雨が降り続いたため、試合は、マーガレット・コートアリーナの屋根を閉じたままインドアコートの状態で行なわれた。

 錦織は、朝起きた時に雨を見て、屋根を閉じて行なわれる試合を懸念したという。

 実は、2015年のATPメンフィス大会準々決勝で、クライチェクと対戦した時がインドアの速いコートだった。1セットを取られて苦戦した記憶が錦織の頭をよぎったのだろう。

 だが、「(全豪は)だいぶコートが遅いので、(相手に)早い展開に持ち込まれることはなかった」と語ったように、錦織のグラウンドストロークはボールがよく伸び、コースの選択も的確で、ほとんどのポイントを錦織が支配した。そして、各セットの序盤でクライチェクのサービスゲームを先にブレークしたことで、錦織が試合の主導権を握り続けた。

 さらに、錦織の好調なサーブが彼の強さをより引き立てた。ファーストサーブの確率は68%で、そのうえファーストサーブのポイント獲得率は83%と非常に高かった。

「サーブがあれだけ入ってくれれば、リターンゲームにも余裕が出てくる」

 錦織は、リターンからも攻勢に出て、クライチェクのセカンドサーブでのポイント獲得率を47%に抑えた。

 結局、錦織にしてはかなり多いサービスエース13本を含む、合計40本のウィナーを打ち込んで友達対決を制した。

「3セットでしっかり終われたことは良かったです」と錦織は、試合後の記者会見で、ホッとした表情を見せ、とりわけサーブに関する質問を何度もされて、「なんか、すごいサーブ(のことばかり)が言われますね」と照れ笑いをした。

 今大会で錦織は、昨年末の短いオフシーズンでの厳しい練習の成果が、徐々に出始めていることを感じている。

 ダンテ・ボッティーニコーチは、錦織のサーブを大きく変えるわけではないが、サーブのトスを少し高くすることを心がけるように絶えずアドバイスしている。

 また、マイケル・チャンコーチは、サーブのインパクトの瞬間にラケット面から右腕と体と足にかけて真っ直ぐになるようにして打つことを錦織に何度も練習させた。

「サーブの悪い点は良くなってきています」とチャンコーチは、2016年の錦織のサーブに手ごたえを感じている。

 錦織とチャンコーチのタッグは3シーズン目に入ったが、練習は相変わらず厳しく、錦織ができないことを、チャンコーチが集中的に注意するのは今も変わらない。以前の錦織は、チャンコーチにも自分自身にもイラつくことがあったが、「自分が前は子供だった」と笑う。26歳の錦織は単にチャンコーチが厳しいだけではないことを今はわかっている。

「(マイケルが)厳しいのも、意味があることを自分がすごく理解し始めている。熱がある厳しさ、です。試合後のアドバイスは熱が入ることもある。怒られる時もあるけど、それは、自分に足りないところでもある。彼が本当に細かいところを言ってくれることによって、自分がレベルアップできる」

 3回戦で錦織は、第26シードのギレルモ・ガルシア-ロペス(27位、スペイン)と対戦することになり、試合は1月22日金曜日に行なわれる。

「ラリーが自然と増えてくると思いますし、より集中力が必要になる」と錦織は気を引き締める。いよいよシード選手同士の対戦が始まる中で、錦織の実力がいかんなく発揮されるか注目したい。

神仁司●文 text by Ko Hitoshi