ベッキーは、将来の芸能界入りを見越して、幼い頃からラブレターを書くことを自ら禁じていたという。25歳のころには次のように発言し、恋愛を封じていることを明かした。

「今、恋愛しちゃうと、『締め切りがあるしな〜。10分だけ会って、ゴメンネと言って出てきて、歌詞を書こうかな』とか、そんなこと考えるだけでエネルギー使っちゃうし、申し訳なく思うじゃないですか。だからもうしばらく我慢して仕事だけをやってみようと思って」
「私、番号を聞かせない空気を出すのがうまいんです。(笑)(中略)『話しやすいけど、電話番号までは聞けないな』みたいな空気を出す。恋に発展しそうな人には」
「今、一人で自分を鍛えてます。今のこの現状がありがたすぎるから、『恋』なんていうごほうびは、まだまだという感じです。アムールはデザートなので」(「週刊朝日」2009年8月7日号)

ベッキーは「ポジティブ」「優等生」と形容される。本当にそうなの?と疑う人も多いが、テレビや雑誌の発言などオモテ側を見る限りでは確かにその形容は間違っていない。少なくとも「恋愛禁止」という体裁をとりながらボロを出しまくる女性アイドルたちに比べれば、ベッキーが演じる「優等生」キャラは完璧だった。だからこそバラエティ番組やCMで重宝されてきたわけで、好き嫌いは別として、仕事がデキる女だったことは否定できない。

仕事一筋の20代から、自分の生き方を考える30代へ

「20代はがむしゃらに働いて基礎固めをする時期。30代まではとにかく頑張ろう!と考えていました」(「日経ウーマン」2015年2月号)というデキる女・ベッキー。意図した通り盤石な基礎を築き、30代に入って「子どもがほしい」としきりに言い出した。親友の上戸彩が結婚出産した影響もあるだろう。

「(30代でやりたいことは)挙げるとキリがありませんが、中でも子どもを産みたいなと思ってます。(中略)子どもが欲しいので必然的に結婚もね(笑)。でも結婚ならなんでもいいわけではなくて、“幸せな”結婚をしたいですね」(「With」2014年4月号)
「(やってみたいことは)子育て! 育児中の友達を見て『私ならどうするか』と想像しています」(「日経ウーマン」2015年2月号)
「(最近、何をしているときが楽しいかという質問に)友だちの子どもと遊んでいるとき」(「オリ・スタ」2015年6月22日号)
「出産するなら36歳くらいまでに1人目が欲しいかな。友達が出産しているのを間近で見ているので、やっぱり私も!って思う」(「日経ウーマン」2015年7月号)

あちこちで発言しているあたり、よほど出産、子育てへの憧れがあるようだ。もっとも、結婚については「焦るのは、本当に意味がないと思う! 春に桜が咲いて、夏にひまわりが咲くように、人それぞれのタイミングがある」(「オリ・スタ」2015年6月22日号)というベッキー節で焦っていないことを強調している。にも関わらず、ゲスの極み乙女。の川谷絵音とは、2015年10月に知り合い、11月には交際に発展、2016年1月には川谷の実家を訪れるという急展開を見せ、とても“卒業”後の桜を待つような悠長な精神状態ではなかったことが伺える。

ストイックな努力家が報われるとは限らない

一生懸命仕事に励んでいると、努力と結果は結びついているものと考えがちだ。もちろんうまくいかないこともあるにはあるが、たいていは自分の努力に見合った結果や達成感が得られる。ベッキーは、前述のように20代のうちは自分を厳しく律し、仕事に励んだ。その努力が、レギュラー番組10本、CM10本という実を結んだ。

だが、恋愛結婚および出産は自分の努力ではいかんともしがたい。仕事とはまったく別のものだ。「そんなの当たり前」と頭で理解していても、いざうまくいかないと「こんなにがんばっているのに、なぜ?」という苦しみに押しつぶされることになる。がんばっても、必死でもがいても、仕事のように誰も評価してくれず達成感も得られず、自分でコントロールすることもできない。納得できないことばかりである。

「何もないときにエリちゃんと出会えてたら良かったのになとか考えちゃう。たらればだけど、神様は割と試練を与えたがる」という後ろ向きな川谷のLINEに対して、ベッキーは「私は何もないときにけんちゃんと出会えてラッキーくらいに思えてるけど…」「逆にいいタイミングで出会えた感、ある気が」と返信した。グダグダ言うばかりでなかなか“卒論”を提出しない川谷には、「大丈夫だよ! 待ってる だからけんちゃんも待ってあげて。大丈夫だよ!」と返答した。

仕事における“ポジティブ”(という戦略)がもたらした成功体験をそのまま川谷との不倫にも生かそうとするベッキー。がんばれば、川谷が卒論を書くと思ったのだろうか。がんばれば、川谷が子どもを授けてくれると思ったのだろうか。そんなワケないじゃん! 努力は報われなかったばかりか“ラブレターは破棄すべし”という鉄の掟を忘れてしまい、LINEや写真など痕跡を残しまくるという、デキる女らしからぬ大失敗をしでかしてしまった。CM降板など代償は5億円と伝えられている。

20代で築いた基礎はもろく崩れ、恋愛、結婚、出産は成就しなかった。でもこれで終わりじゃない。デキる女・ベッキーとして、仕事で挽回することを期待している。

(亀井百合子)