TVスペシャル『ルパン三世 イタリアン・ゲーム』は森本晃司によるOPアニメが最高でしたね! 以上!

さて、30年ぶりのTVシリーズルパン三世。先週放送の15話はコメディータッチの「ハイスクール潜入大作戦!」。


ルパンが手にしているのは、悪女のように持ち主がコロコロと変わるという噂を持つダイヤ「クレオパトラの心」。手にした獲物にウキウキのルパンだったが、噂どおりにダイヤはルパンの手を離れて、なぜか高校へ。ルパンはダイヤ奪還のため、教師に変装して高校に潜入する。

このときのルパンの変装というのが、スーツさえ着替えずにメガネだけかけるという脱力もの。どこからどう見てもルパン。だが、案外ルパンはこの“メガネルパン”がお気に入りのようで、TV第4シリーズ「魔法使いの左手」やTV第1シリーズ「十三代五ヱ門登場」などでも使っていた。劇場映画『風魔一族の陰謀』でもメガネ姿を披露している(変装ではない)。

ルパンが潜入した高校は典型的な“荒れる高校”で、生徒は学校内で酒、タバコをやり放題。一方、校内でなぜか時限爆弾をつくっている4人組の教師がいた。街で小物マフィアに絡まれて金を要求されている4人は、思いあまって爆弾でマフィアを皆殺しにしようとしていたのだ。とはいえ、大層ポンコツな4人組であって、タナボタで手に入れた「クレオパトラの心」を爆弾のパーツに使おうとしていたりする。爆弾にダイヤを使うのは「クオリティの問題」なのだそうだ。ちなみに後でルパンに「売ればいいのに」と突っ込まれていた。

ダイヤを奪おうとするルパンに、金属バットや硫酸やコントラバス(?)やモップ(?)で立ち向かう4人組だが、到底相手にならない。悲嘆に暮れるポンコツ教師の一人、マリオがルパンに問いかける。

「教えてください! どうすればあなたのように強くなれますか!?」
「悪いが、その答えを俺は持ち合わせちゃいねぇ」
「ルパン三世なのにですか?」
「ルパン三世だからさ。俺とあんたらは泥棒と教師、住む世界が違う。自分で考えろ。答えはあんたのほうがよーく知ってるはずだぜ」

実はこのマリオ、不良生徒のリッキーが街で他校の不良に殴られているのを素通りして以来、生徒たちにチキン教師となじられ続けていた。生徒の危機にも自分たちの危機にも向き合わず、逃げる方法ばかり考えている教師、ということだ。

結局、土壇場でチキン教師のマリオはマフィアの中にいたリッキーを体を張って救い、マフィアたちはルパンの手引きでやってきた銭形警部たちに追い払われてハッピーエンド。教師と不良生徒は心を通わせ、「クレオパトラの心」は無事にルパンのもとに帰ってきたが……。次元に「あの教師たちに情がわいたのか?」と問われたルパンは、照れ隠しのような言葉を並べ立てる。

「これは俺のバカな想像なんだけどよ。クレオパトラの心がこいつに宿ったんじゃなくて、こいつがクレオパトラの心を変えちまったんじゃねぇか?」
「はぁ?」
「持ち主を移り気にさせるダイヤ。だとしたらこいつはとんだ食わせ物だな」(ダイヤを海へポイー)
「いいのか?」
「俺はまだ、泥棒を辞める気はねぇよ」

自分が善行をしたのをダイヤのせいにしてポイッと捨てる。コメディー回でも最後はダンディーにキメるルパンでした。

実は夜9時台に放送されていた『ルパン三世』


持ち主をコロコロ変えるお宝というモチーフは、TV第1シリーズ「全員集合トランプ作戦」のナポレオントランプを思い起こさせるもの。ポンコツ教師たちの巻き起こす間抜けな騒動ぶりに、TV第2シリーズの明るい雰囲気を思い出したファンもいる様子。いまどきドラマでもなかなかやらないベタな学園モノの展開も懐かしく感じる。

「今回のルパン普通に全日帯みたいな回だった」
「今回は大人向けというより子どもに見て欲しいな」
「どこまでもまっとうに作ってある。こういうのこそ、子供に見てもらうべき」

などという感想がネットに挙がっていた。

逆に言えば、深夜アニメにしては毒がない『ルパン三世』。それもそのはず、先行放送されていたイタリアでは日曜夜9時台に放送されていたのだ。家族団らん、堂々たるプライムタイムの放送である(第2クールからは夜11時台の放送)。徹頭徹尾深夜モードだった『LUPIN the Third 峰不二子という女』のようにはいかないのである。個人的にはもっと刺激的なルパンが見たいんですけどね。

なお、今回は“荒れる高校”が舞台だったが、実際にイタリアの若者たちをとりまく状況は劣悪だというレポートがある(「第3世界並みイタリア社会の闇」『ニューズウィーク日本版』2013年1月30日)。このレポートによると、イタリアの24歳以下の失業率は36.5%に及ぶ(日本の20〜24歳の完全失業率は6.3%)。大学と高校の入学者数は減少し、高校の中退率は18.8%で欧州4位。不良生徒のリッキーが「将来はマフィアになるのが夢」とうそぶくのは案外リアルだったりするのだ。エンタテインメントは社会の写し鏡である。

さて、今夜の『ルパン三世』は、銃も使わず、盗みもしない、のんびりしたルパンたちの一日を描く「ルパンの休日」。今シリーズのルパンたち、盗みをしなさすぎじゃありませんかね……? チャンネルは決まったぜ。
(大山くまお)