『OTAKUエリート 2020年にはアキバカルチャーが世界のビジネス常識になる (講談社+α新書)』羽生 雄毅 講談社

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 1月15日、マーケティング・リサーチの矢野経済研究所がオタクにまつわるこんな調査結果を発表しました。

 同研究所が国内在住の15歳〜69歳までの男女9,862名を対象に実施した「『オタク』市場に関する調査結果 2015」によると、「自分を『オタク』だと思いますか?もしくは人から『オタク』と言われたことがありますか?」という質問に対し「はい」と回答した人は全体の21%。このデータを基に考えれば、日本人のおよそ5人に1人がオタクであることになります。

 しかし、この割合について「多すぎる」と疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。もちろん一口に「オタク」といっても、その種類はさまざまで、"自称オタク"の中にはいわゆるライト層も多く含まれることでしょう。ただ、それを差し引いても「日本人の5人に1人がオタク」が事実だとすると、「自分がオタクである」ことを隠している人が一定数いてもおかしくありません。実際、オタクがバレてしまうことを言う「オタバレ」なる言葉まであります。"本物のオタク"はひっそりと趣味を隠して楽しまねばならないという不文律もあるのかもしれません。

 ただ、海外では事情が大きく違うようです。

 オックスフォード大学を経て現在は東芝研究開発センターに所属する羽生雄毅さんは、著書『OTAKUエリート 2020年にはアキバカルチャーが世界のビジネス常識になる』の中で、自身がこれまで出会ってきた数々のOTAKU(オタク)たちのエピソードをつづり、世界でアキバカルチャーがどのように扱われているかをまとめています。

 例えば羽生さんは、海外の「OTAKUネイティブ」に会うために足を運んだシンガポールでの「Anime Festival Asia 2014」で、シンガポールの全寮制学校に在籍しているというインドネシア人女子留学生たちと出会いました。聞くところによると、彼女たちはボーイズ・ラブを愛好するオタク、いわゆる「腐女子」だったのだそうです。

「『君たち、もしかして腐女子なの?』と私が話しかけると、なぜかみんなで頬を赤らめて『Yes』と答えた。どこか誇らしそうでもある。ちなみに『fujoshi(腐女子)』という言葉は、アキバカルチャー文化圏限定だが、世界共通語になっている。今やOTAKUに対して、『彼らは、様々な創作物に触れ、絵が描けてITスキルも高い、ファッショナブルな文化人である』というイメージを持つ外国人もいるほどだ」(同書より)

 なんと海外では、OTAKUであることは評価されるというのです。

 また、羽生さんは同書を通して、アキバカルチャーに傾倒するOTAKUたちを「能動的に言葉の違いを乗り超える、好奇心旺盛な人たちである。また、多くが創作活動に携わり、ITを駆使して自己発信するなど、平均以上に活動的である」と分析。さらに、高い教育水準と中より上の経済的環境にいるOTAKUたちは、いずれキャリアを積めば超親日派の「OTAKUエリート」になるのではないかと考察しています。

 現に、先述の彼女たちもスムーズな英語で「去年のAnime Festival Asiaではオタクグッズに何百ドルも使った」と話してくれたのだそう。そんな彼女らを見た羽生さんは「彼女たちが流暢な英語が話せることも、この若さでオタクグッズに大金を費やせることも、彼女たちが裕福な家庭に育ち高い教育を受けてきた証拠である」と綴っています。

 これからの世界経済をけん引するかもしれないOTAKUたち。日本のオタクも、もっと自信を持つべきなのかもしれません。