右膝の状態を考えて第3戦に照準を合わせた松原だが、低パフォーマンスに終始。交代で入った亀川も良かったとは言い難く、右SBは不安の残るポジションに。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 今予選で初めて失点を喫したが、形としては不可解な判定からのPK。崩されて失ったわけではない。しかし、守備陣のパフォーマンスが盤石であったのかと問われれば、それもまた否定せざるを得ないだろう。

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 まず不安を感じさせたのが右SBだ。昨年4月に手術した右膝の状態が芳しくない松原は「大会前に第3戦に照準を合わせてほしいと話していた」(手倉森監督)と、満を持しての登場となったが、やはりトップフォームからは程遠い出来。守備では裏を突かれる場面が多く、得意の高精度クロスを見せたシーンは皆無で、「ちょっと、気になったので変えてもらいました」(松原)と、68分には自ら交代を願い出た。
 
 そして交代で入った亀川は、本来は左SBのため右SBでは攻守に粗さが目立ち、指揮官の信頼を掴めたとは言い難い。レギュラーの室屋は1月16日のグループリーグ第2戦のタイ戦で右足を打撲し、別メニュー調整が続く。もし次戦の準々決勝に室屋が間に合わなければ……不安は尽きない。
 
 一方、左SBでは山中が自慢の左足を武器に攻撃面で高く貢献した。守備面でも粘り強い対応を見せるなど、問題のない出来だったと言えよう。
 
 CBは岩波不在の影響が見られた。植田は最終ラインを統率しようと奮闘したものの、奈良に軽い対応が散見。「最終ラインを高く保ってコンパクトさを維持しようとしていた」とはベンチから見ていた遠藤の言葉で、全体としての意志統一は図れていたようだが、球際など局面での対応に課題が残った。
 前2戦とは違う4-3-3で臨んだなか、注目だったのが中盤の「3」の構成力だ。アンカーを務めた三竿の脇を上手く使われるなど修正点は残ったが、その前に並んだ大島と井手口が上々のパフォーマンスを見せたのは収穫だろう。
 
 特に第1戦の北朝鮮戦で不完全燃焼に終わり、第2戦のタイ戦では出場機会がなかったチームの司令塔・大島がファインゴールを奪って勢いに乗れた点は大きい。サウジ戦も序盤こそミスが散見されたが、ゴール以降はテンポ良くボールを散らしたり、カウンターの起点となった。また、井手口も今予選初出場ながら、追加点を奪うなど評価できる内容を見せ、起用に目途が立ったと言える。
 
 ただ、後半途中から大島、井手口がダブルボランチを組み、安定感は増しただけに、決勝トーナメントではこれまでの4-4-2に戻すことが濃厚だろう。
 
 こちらも通常とは違う「3」の組合せで、左から中島、オナイウ、南野が並んだ。3人のなかで結果を残したのは南野だ。53分、右サイドから仕掛けると、冷静なパスで井手口のゴールをアシスト。波に乗り切れていなかった男がようやく得点に絡んだ。
 
 ただ、前線3枚の連係はそこまで見られず、中島、南野が単独で仕掛けて相手に潰されるシーンも少なくなかった。1トップのオナイウは相手DFに狙われ、上手くボールを収められず。やはり前線も2戦目までの2トップがフィットしているように映る。
 
 そのなかで興味深かったのは、浅野の投入後のチームの動きだ。2-1で迎えた66分に浅野がピッチに登場したが、大島は「(浅野)拓磨が入ったことで割り切って蹴ろうと思った」と守備に重点を置き、ロングボールで相手の背後を狙うカウンターを軸にした試合運びにシフトしたことを説明する。
 
 事実、浅野はそのスピードを活かし、ロングボールから何度も裏へ抜け出して、相手守備陣を押し下げた。選手交代で監督の意思がピッチへ伝わるのは戦い方の幅を広げることとなる。決勝トーナメントでも浅野はベンチの切り札として機能しそうだ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)