リオ五輪出場を争うU-23選手権は、日本でどれぐらい報道されているのだろうか。ネット上に配信される記事は格段に増えているが、テレビの扱いはどうなのだろう。全豪オープンが開幕したことで、錦織圭の試合がサッカーよりニュースバリューを持っているのだろうか。国民的グループの解散報道で、ワイドショーはサッカーどころではないのだろうか。
 
 現地カタールの盛り上がりは、予想していたとはいえさっぱりである。
 
 テレビ中継をご覧になっている方はお分かりだろうが、スタジアムはのきなみ空席が目立つ。カタール戦以外は1000人に届かないのが普通だ。
 
 開幕戦を除いたグループステージの入場料は、カテゴリー1で30カタールリアル、カテゴリー2で10リアルである。日本円に換算すれば960円と320円程度だ。この金額は準決勝まで変わらない。子どもは全試合無料である。
 
 大衆的なレストランでの食事は、1食あたり10リアルから20リアルほどだ。30リアルも出せば、かなり小奇麗な店で空腹を満たせる。タバコのマルボロは10リアルである。1リットル入りの牛乳が6リアルから8リアルだ。

 こちらの相場観に照らせば、30リアルは決して高くはない。それなのに、スタンドはガラガラなのである。「MEET THE RISINNG STARS OF ASIA」──アジアの新星を見よ、とでも言うべきキャッチフレーズが虚しい。そもそもこのキャッチフレーズを、現地ドーハ人が知っているのかと思う。1月12日から滞在日数分だけタクシーを利用しているが、僕をスタジアムや練習場へ連れて行ってくれた8人のドライバーは、五輪予選が開催されていることを知らなかった。誰ひとりとして、である。

 アンダーカテゴリーの大会に空席が目立つのは、アジアに限ったことではないだろう。だが、かくも注目度の低い大会でも、日本にとっては確実にアウェイである。というよりも、開催国カタールを含めた中東勢はホームと同じ環境で戦えている、と言えばいいだろうか。

 タフな環境を乗り越えて五輪の出場権をつかめ、というのはたやすい。そのとおりになれば結果オーライだが、アジア予選と五輪本大会を比較すれば、どちらの経験が得難いのかは論じるまでもない。地域予選を勝ち抜いてきた世界の様々な国と戦う経験は──本大会はスタジアムが観客で埋まることも、付け加えておく──アジア予選の“タフな環境”をはるかに上回る。

 U−23選手権は、2年に一度の頻度で今後も開催されていく。五輪予選を兼ねることになる。ならば、日本も開催国に立候補したい。2020年はホストカントリーとして五輪に出場できるが、2024年の出場権を賭けた大会には、開催に名乗り出るべきだろう。

 そんな先の話をなぜいま、と考える人がいるかもしれない。だが、中東勢に主導権を握られている現状を覆すには、相応の時間と根回し(あるいは中東勢を除いた連帯)が必要だと考える。

 クラブW杯でも感じたのだが、国際大会を開催する意義は、出場するクラブや代表チームの利益にとどまらない。サッカーピラミッドを構成する子どもたちに夢や目標を与える機会としても意義がある。テレビが伝えきれない国際試合の雰囲気、迫力、熱量といったものを体感してもらうことも、普及と育成に含まれると思うのである。