株主優待の食事券を利用して、高級フランス料理のフルコースを堪能。優待のおかげで外食に現金を使うことはほとんどないという
広がり続ける格差や給料頭打ちの経済情勢なぞどこ吹く風と言わんばかりに、アグレッシブに資産を増大させているミリオネア投資家たち。そんな彼らの独自の投資戦略、そして資産形成術と勝負のタイミングを知ることで、億超えへの道を探る!

【優待バリュー株 v-com2氏】
総資産1億円/投資歴12年
直近1年の騰落率+2200万円

 東証2部やジャスダックの「地味」な銘柄の中から、東証1部に「出世」しそうな銘柄を発掘して投資する手法で“億り人”の仲間入りを果たしたのがサラリーマン投資家のv-com2氏だ。

「株式市場の中で最もステータスが高い東証1部に昇格すると営業や採用がしやすくなるため、市場変更を狙う企業は多いです。さらに昇格が決まるのに併せて株価も急上昇するので、そこで生まれる値上がり益を狙うのです」

 そこで編み出されたのが、「昇格期待銘柄への投資」だという。そもそもなぜ、東証1部に昇格すると株価が上昇するのだろうか。

「東証1部全銘柄の時価総額を指数化したTOPIX(東証株価指数)には連動する投資信託やETFなどが数多く設定されています。これらの商品は新しく1部に上場した銘柄に一定量を投資しなければならないため、大量に買われることが確実になる。その期待で株価は上昇するのです」

 当初は株主優待目当てで20万円から始めた株投資だが、優待のお得度と株価の割安度を重視して投資するうち、持ち株が東証1部に指定替えとなって株価が吹き上がるのを何度も経験したというv-com2氏。

「先回り投資は長期保有することになるので、割安でなおかつ財務に問題がないことが購入の条件ですね。特に重視する指標は、会社の資産価値と株価の関係から割安度を測るPBRで目安は1以下。もしくは自分が気になっている株主優待を実施している銘柄を選んで、優待を楽しみながらのんびり朗報を待つのもオススメです」

 大量の株主優待が届くため、外食は優待の食事券が使える店ばかりに行くようになり、自宅は届いたばかりの食料や日用品で溢れていたという。

「’14年当時、名証2部に上場していた靴小売のジーフットは、財務状態が良好でPBRなどの指標も割安、しかも昇格の“兆候”がいくつも出ていた最高ともいえる銘柄でした。思い切って300万円を投じたら、金券として使える株主優待券が何枚も送られてきましたね。その後、株価も市場が将来性に気づいたのかじわじわと上昇。’15年10月には晴れて東証1部への昇格が決まり、株価は上場来高値を記録しました。この銘柄だけで含み益は投資金額と同じ300万円に達していますね」

 では、昇格しそうな銘柄を察知するための“兆候”とは何か。v-com2氏は「最もわかりやすいのは株主優待の新設や拡充」と明かす。

「東証1部昇格には株主数や時価総額、流通株式数などの要件があるので、優待を充実させることで個人投資家の買いを集め、株主数の増加や株価上昇を狙う企業が多いのです」
 同じ理由で、流通株式数を増やす株式分割や立会外分売の発表も有力なシグナルになるという。

「また、ジャスダックや地方市場から東証2部に市場変更してくる銘柄にも要注目です。直接、東証1部を目指すよりも、2部から昇格するほうが条件もゆるいため、2部を経由するのが昇格狙いの『王道パターン』なんです」

 また、なかには昇格の時期まで正確に予測できるケースもある。

「地方市場から移ってきたり、東証2部にIPOした企業は最低1年、2部に在籍する必要があるんです。最短での昇格を目指す意欲的な企業なら、2部への市場変更からちょうど1年で昇格できるよう準備を進めるものです」

 ただし、明確なサインが複数点灯してからではすでに買われて上昇していることも多い。こうしたケースでは実際に昇格が発表されてもさほど上がらない。もちろん、発表がなければそのまま株価が下がることもあるという。