中国メディアの観察者網はこのほど、韓国が開発中の「KFX」戦闘機が、国際的に売れるとは思えないと主張する論説を掲載した。(イメージ写真提供:(C)Thor Jorgen Udvang/123RF.COM。デモ飛行するT−50)

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 中国メディアの観察者網はこのほど、韓国が開発中の「KFX」戦闘機が、国際的に売れるとは思えないと主張する論説を掲載した。

 記事はまず、韓国がかつて開発したT-50練習機と、同機から派生させた軽戦闘爆撃機のFA-50を論評。T-50は超音速練習機として国際市場の扉を開けた大きな意義ある航空機だったが、T-50(の派生型)は実際の厳しい戦闘に耐えられるものではないと主張。

 中国は比較的安価な戦闘機としてFC-1を開発したが、論説は予算面でFC-1の購入も困難な国の場合、中国が開発した練習機の「L-15(練-15)」を実戦に投入できる仕様にして購入するほうがよいと主張。すでにザンビアとベネズエラがL-15を購入しているが、L-15は韓国のT-50よりも格段に安い上に、火力統制用のフェイズド・アレイ・レーダーも搭載しているなど技術面で先進的と説明した。

 論説はさらに、「T-50が冷戦時の化石」になってしまったことは、韓国自身も分かっている」と解説。韓国軍は、まだ現役で極めて旧式なF-4やF-5を、T-50ではない別の安価な戦闘機で交代させる道を探ってきたという。

 記事は、韓国と北朝鮮が戦争状態になった場合、韓国側は現有機でも制空権を得ることは可能と指摘。ただし、地上部隊の支援は現状では困難と分析した。北朝鮮側が非常に密集した低空防衛網を構築しているからという。

 そのため、韓国軍については地上部隊の支援で、航空機の消耗は避けられない。従って、安価な航空機を多く用意することになるという。

 韓国にとっては、米国製の航空機に頼りたいところだが、米国は1980年代に、安価なマルチロール機の開発をやめてしまった。米国のA-10は韓国の需要を満たしているが、米国は韓国に売ってくれず、現在となってはA-10も旧式機になってしまった。

 論説は、「韓国は仕方ないので、自分で航空機の開発に着手」と論評。これがKFXであり、2020年には初飛行の予定だ。
 ただし、KFXには「ステルス性を重視しているが、武器類を機体の外に搭載する」などよく分からない面があるという。

 KFXの生産で、インドネシアとの協力を決めたことについては、インドネシアは航空工業の基礎があり、民間用の支線機で評価されている機体もあると紹介。しかしインドネシアには現状で、戦闘機を作るまでの力はないので、韓国との協力によって新分野を開発できれば「損はない」程度の考えという。

 論説は、韓国のKFXについて、「多少は落とされてもよい」程度の思想で開発されており、国際市場で「そのような航空機を求める者はいないだろう……」と評した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Thor Jorgen Udvang/123RF.COM。デモ飛行するT-50)