2016年最初のテニス4大メジャーであるオーストラリアンオープン(全豪)が開幕し、第7シードの錦織圭(ATPランキング7位、1月18日付け、以下同)は、1回戦で、フィリップ・コールシュライバー(34位・ドイツ)を、6−4、6−3、6−3で破り、2回戦に進出した。

「最初は、相手の出方を見る形になる」と語っていた錦織。第1セットでは、お互い緊迫したサービスキープが続いたが、コールシュライバーのサーブで第10ゲーム30−30から、コールシュライバーが2本連続でストロークミスを犯し、初めて訪れたブレークポイントに錦織がワンチャンスをものにしてセットを先取した。

「(コールシュライバーは)危険な選手です。でも、圭のスタイルを貫いて、いいプレーができれば、良い結果はついてくるでしょう」とマイケル・チャンコーチが語っていたように、錦織は得意のフォアハンドストロークで先手を取って、ラリーの主導権を握り、コールシュライバーのミスを誘った。さらにネットに17回出て12回ポイントにつなげるなど攻撃的なプレーが光り、コールシュライバーに対して、1度もブレークポイントを許さない完勝となった。錦織は満足のいくプレーができ、メルボルンで最高のスタートが切れたことを素直に喜んだ。

「1セット、2セットを取られることを想像していたので、このスコアで勝てるとは想像していなかった。リスペクトできる相手だったので、自分も集中していたし、出だしの入りがよかった。サーブもストロークの調子もすごくよかった。今日はすごく感覚がよかった」

 今回の全豪では錦織以外に、ダニエル太郎(99位)とワイルドカード選手権で優勝した西岡良仁(117位)が本戦ストレートインした。さらに、予選から勝ち上がった伊藤竜馬(125位)と杉田祐一(124位)も含めて、5人の日本男子がメインドローに名を連ねた。全豪では1975年以来41年ぶりで、グランドスラムでは2015年ローランギャロス(全仏)以来の最多タイとなった。ATPツアーでトップ10に定着して活躍する錦織が、日本男子テニスを牽引してきた効果がもたらした福音といっていい。

 デビスカップ日本代表監督の植田実氏は、チームで一緒に戦いながら錦織効果を肌で感じている一人だ。

「選手たち同士で、本戦に上がれるんだという気持ちが伝わってくるんだと思います。みんなの力が発揮できれば、この位置にいられるのだということを証明してくれていますね。そして、錦織の頑張りを見て、意識をもっと高く持たなきゃと、みんなが明らかに変わった」

 また、元デビスカップ日本代表監督で、現在、日本オリンピック委員会の選手強化副本部長を務める福井烈氏は錦織効果がさらに波及することを望んでいる。

「頼もしいかぎりです。錦織が活躍した効果はもちろんあるでしょう。5人がもっといいテニスをすれば、さらに若い選手にもいい影響が出てくると思います。5人といわず、これからがスタートです」

 そして、錦織も、今後日本男子選手がさらにレベルアップすることを願っている。

「(全豪で)こんなに日本人が本戦にいるのは久しぶりなので、日本のテニスにとってもちろんいいことです。これから西岡選手、ダニエル選手といった若手が本戦に来て、やはり若いうちに、いい経験をたくさんできるのはいいこと。中堅というか伊藤選手と杉田選手も、これからまだまだ強くなれると思うので、もっともっと上がって来てほしいです」

 2回戦で錦織は、オースティン・クライチェク(103位、アメリカ)と対戦することになった。錦織より1つ年下の25歳で、IMGアカデミーでは、錦織が16〜17歳頃に相部屋であったことがある旧友だ。クライチェクが錦織に英語を教え、錦織がクライチェクにお寿司の食べ方を教えたこともある仲だという。

「オースティンはとてもアグレッシブな選手です。いいサーブを持っていて、ネットにもたくさん出てくる。簡単な試合にはならないでしょう」

 錦織の2回戦は1月20日水曜日に行なわれるが、友達対決を制して、波に乗ってもらいたい。

神 仁司●文 text by Ko Hitoshi