昨年12月にFRB(米連邦準備制度理事会)が実施した9年半ぶりの利上げによって、アメリカは異例のゼロ金利から脱却した。この方針は今後の為替相場にどう影響を及ぼすのか。酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表の酒匂隆雄氏がいう。

「金利差が拡大してもドル高はそろそろピークを迎えると見て、ドルを買った人が利食いに走るという見方があります。さらに投資家たちは地政学的リスクを回避するために安全な通貨にシフトするので円が買われ、1ドル=105〜110円の円高になるのではと見ています」

 今年がドル円の調整の年になるとすれば、どんな投資戦略が考えられるか。

「一般の投資家は目先の利益にとらわれて金利の高い新興国の通貨を買いたくなるでしょうが、それは避けたほうがいい。

 これまでアメリカのゼロ金利政策や量的緩和によって国外に流出したドルが新興国の資産や資源を買っていましたが、利上げによってアメリカ国内に引き上げてしまうので、新興国通貨は下落して景気・経済の不安が広がる可能性がある。

 仮に年2%の金利差があったとしても、80円で買った通貨が70円に瞬間的に落ちてしまったら目も当てられません。今年前半はじっくり様子を見て、日本円で持っておくことをおすすめします」(同前)

 今夏には参院選が控えている。選挙対策として補正予算や追加の金融緩和も噂される。

「年の後半になれば為替の方向性も見えてきているはず。FX(外国為替証拠金取引)にしろ株式にしろ、自信をもって“底”だと判断できたら買いましょう」(同前)

 動かずに相場を見極めるのも大事な戦略、ということだ。

※週刊ポスト2016年1月29日号