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米国の宇宙開発企業「スペースX」は1月17日(現地時間)、米国と欧州が共同で開発した海洋観測衛星「ジェイソン3」を搭載した「ファルコン9」ロケットの打ち上げに成功した。打ち上げ後にはロケットの第1段機体を太平洋上の船に降ろす試験にも挑んだが、甲板に着地後に機体は倒れ、失敗した。

ファルコン9は日本時間1月18日3時42分(太平洋標準時1月17日10時42分)、米国カリフォーニア州にあるヴァンデンバーグ空軍基地の第4E発射台から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから56分後に衛星を分離した。

分離後、衛星は太陽電池パドルの展開に成功し、また地上との通信も確立され、衛星の状態が正常であることが確認されている。

○海洋観測衛星「ジェイソン3」

ジェイソン3は米海洋気象庁(NOAA)、欧州気象衛星機構(EUMETSAT)、米航空宇宙局(NASA)、フランス国立宇宙研究センター(CNES)が開発した海洋観測衛星で、搭載しているレーダー高度計やマイクロ波放射計を使い、海面高度や波の高さ、大気中に含まれる水蒸気量などを観測することを目的としている。得られたデータは天気や気候、海の状況の予測改善などに役立てられる。

衛星の製造は欧州の航空宇宙大手タレス・アレニア・スペースが担当した。打ち上げ時の質量は510kg。高度1336km、赤道からの傾き(軌道傾斜角)は66.05度の円軌道で運用される。この軌道は海上の同じ地点を9.9日に1回通過することができる。設計寿命は3年が予定されている。

米国と欧州は、1992年に打ち上げた「TOPEXポサイドン」から、衛星を使った海洋の共同観測を続けている。その後、2001年の「ジェイソン1」、2008年の「ジェイソン2」と後継機が打ち上げられており、ジェイソン3はジェイソン2の後継機となる。ジェイソン2の設計寿命も3年だが、約8年経った現在も動き続けており、2017年まで運用を続けることが計画されている。

○船への着地は失敗

ファルコン9は昨年末、打ち上げ後の第1段機体を、発射場に程近い陸上に着陸させることに成功したが、今回の打ち上げでは海上に用意されたドローン船「指示をよく読め」号の上に降ろすことが試みられた。

同社は2015年の1月と4月の打ち上げでも回収試験も行っているが、2回とも船の上までたどり着くことはできたものの、甲板に接地した後に倒れて破壊されるなどして失敗。今回が3度目の挑戦となったが、残念ながら今回も失敗に終わった。

同社によると、着地までは順調だったものの、機体下部に4本ある展開式の着陸脚のうちの1本の固定機構が外れたことで、着地の直後にロケットが転倒、破壊されたという。

スペースXはロケットの打ち上げコストを大幅に引き下げることを目指し、数年前から打ち上げに使ったロケットを回収し、再度打ち上げに使う研究や試験を続けている。

前回のように、ロケットを発射台の近くまで戻す場合、機体を上空で反転させ、それまで飛んできた飛行経路を戻すようにして飛ばさなければならない。それには多くの推進剤が必要になるため、質量の大きな衛星を打ち上げる場合や、衛星を投入する軌道によっては、ロケットを陸地まで戻す余裕がないことがある。

そこで、第1段の飛行経路の真下に船を用意してその上に降ろし、そのまま船で陸にある基地まで戻すか、あるいは船の上でロケットの点検、整備を行い、衛星を搭載して再打ち上げを行うことで、陸まで戻る分の推進剤が不要になるため、陸上回収ができない打ち上げでも、ロケットの回収、再使用が可能になる。

船の上に降ろす場合、降りられる範囲が狭いことや、波や海流の影響で船が安定していないこと、さらに海上は風も強いこともあり、陸上に降ろすのと比べて難易度は上がる。

しかしスペースXによると、今回の挑戦では、ロケットは甲板の中央から1.3m以内に着地することができており、また着地時の速度も良好だったとし、着陸脚の問題を除けば、ロケットの速度や姿勢の制御は予定通りだったとしている。

同社のイーロン・マスクCEOは「次はうまく着地できるでしょう」と語っている。

参考
・SpaceX | Webcast
 

・"Well, at least the pieces were bigger this time! Won't be last RUD, but am optimistic about upcoming ship landing"  
・News | Jason-3 Launches to Monitor Global Sea Level Rise
 
・Jason-3 Satellite
 

(鳥嶋真也)