建築ビエンナーレで注目を集めた「シカゴの未来都市構想」

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地元企業10社以上から都市へのラディカルな提案ばかりを集めた建築展が、シカゴで開催された。未来を見据えた斬新なデザインであるとともに、シカゴの街の現状をよく踏まえた展示品の数々は、シカゴの都市が将来どのように変化するのかについての議論を呼び起こし、関連事業の決定権をもつ当局者まで広がっている。

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2/10IMAGE COURTESY OF PORT URBANISM

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4/10工業地域と住宅街を一緒にしてしまうという、Hinterlands Urbanism and Landscapeの「Logistical Ecologies」計画。/PHOTOGRAPH COURTESY OF HINTERLANDS URBANISM AND LANDSCAPE

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5/10デヴィッド・ブラウンのプロジェクト「The Available City」ではシカゴにある1万5千の市所有の空き地を活用するアイデアが提案されている。/PHOTOGRAPH COURTESY OF DAVID SCHALLIL

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6/10同じく「The Available City」より。/PHOTOGRAPH COURTESY OF DAVID SCHALLIL

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7/10Urban Labが提案した「Filter Island」は、天然のろ過装置を活用した、カラフルな公園だ。/PHOTOGRAPH COURTESY OF DAVID SCHALLIL

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8/10熱エネルギー、音響エネルギーなど、さまざまなエネルギーを使って公園内で発電する、Weathersの「Second Sun」。/PHOTOGRAPH COURTESY OF DAVID SCHALLIL

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9/10Design With Company作の「Late Entry To The Chicago Public Library Competition」は、ビルをひとつの都市にしてしまうアイデア。/PHOTOGRAPH COURTESY OF DAVID SCHALLIL

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10/10SOM and CAMESgibsonが提案した「The High Life」の模型(左)とスケッチ(右)。/PHOTOGRAPH COURTESY OF DAVID SCHALLIL

初めての開催となったシカゴ・ビエンナーレ国際建築展(2015年10月1日〜2016年1月3日)の展示品のデザインは、シカゴ以外の都市でも実現できそうなものばかりだ。

この国際建築展のクリエイティヴチームは、「風の街 (Windy City)」と呼ばれるシカゴを念頭に置いて『BOLD: Alternative Scenarios For Chicago』を企画した。これは、地元企業10社以上からシカゴの街へのラディカルな提案ばかりを集めた建築展である。

展示会を企画したのは、都市計画に携わる企業、MAS Studioのディレクター、イケル・ギルだ。冒険的な作品がみなそうであるように、この計画ではスコープや実現性への疑念は放棄しなくてはいけない。しかし、計画の多くは100年以上の歴史をもつ大都市に対して、スマートな提案をしている。

「未来に目を向けたものですが、同時にシカゴという都市の現実をしっかりと捉えています」と、デザイン季刊誌『MAS Context』の編集長も務めるギルは語った。「どうすればこういった新しいアイデアを導入できるのか、皆さんに考えてもらいたいと思っています」

新進気鋭のデザイナーから世界的に有名なデザイナーまでのさまざまなデザイナーが、地域を変えるための計画や型破りな建築イノヴェイションなど多種多様のアプローチを提案している。ギルの言葉を借りれば、シカゴの都市の「総合的な視点」と「あらゆる規模での建築の役割」をもった作品となっている。

「単なる住宅デザインではありません」とギルは言う。

展示のなかには、単一のアプローチで都市の大変換を提案するものある。例えば、UrbanLabの「Filter Island」は、バイオスウェール(浸透池)、湿地、その他のシカゴ川の天然ろ過装置を、広大で変化に富んだ公園の要素として描いている。PORTは「The Big Shift」で、レイク・ショア・ドライヴ(現在、この道路を境に開発が禁止されている)を東方向へずらし、埋立地と地下道を使って新しいスカイラインと150エーカー(約60ヘクタール)の公共ウォーターフロント地帯の実現を提案した。

「シカゴでの大規模な都市化の動きは過去のものです。次の世紀でのシカゴの都市変容の可能性に目を向けなければ、チャンスを逃してしまいます」とPORTのクリストファー・マーキンコスキは語った。

「The Available City」/COURTESY OF DAVID BROWN

よりオーガニックなアプローチを選択しているデザインもある。

イリノイ大学シカゴ校建築学科の准教授で副ディレクターのデヴィッド・ブラウンのプロジェクト「The Available City」は、シカゴにある1万5千の市所有の空き地での都市デザインの可能性を探究している。9つの事務所の提案を包合し、なかには高台につくった公園、多目的教育空間、ウエルネスセンター、メーカースペース、コミュニティーキッチン、マイクロハウジングなどがある。

都市外では、Hinterlands Urbanism and Landscapeが「Logistical Ecologies」を提案し、イリノイ州北東部の地方で新たな目的のために再利用した鉄道、倉庫、流通設備のネットワークと住宅供給を組み合わせ、成長と活性化を促進する。

Hinterlands Urbanism and Landscapeの「Logistical Ecologies」/COURTESY OF DAVID SCHALLIL

あるチームは建築と都市計画とテクノロジーを組み合わせ、新しいタイポロジーをまとめ上げた。SOM and CAMESgibsonの「The High Life」では、新しいタイプの超高層ビルが提案されている。ビルの中心から片持ち梁で「トレイ」が突出し、そのトレイを一区画を構成するものとして開発して新しい垂直型のパブリックドメインをつくりだし、一般的に分かりやすいエリアに個別空間を残す。

Design With Companyの「Late Entry To The Chicago Public Library Competition」は、ビル内部に24の建物が集まるある種の都市をつくりだした。理論上は人気のないハロルド・ワシントン・ライブラリー・センターに取って代わる新しい図書館内に、奇抜なランドマークや有名な過去の巨大建築などがある。そして、Weathersの「Second Sun」はさまざまな形態のエネルギーに対応する公園をつくる。熱エネルギー、音響エネルギー、運動エネルギー、電磁エネルギーなどを活用し、公園内で発電する。

こういった展示はすでに、シカゴという都市の将来に対する議論を呼び起こし、それはビエンナーレに参加した数千人の人々の間だけにとどまらず、関連事業の決断を下す当局者まで広がっている。ギルによれば、シカゴ市長のラーム・エマニュエルはこの展示の提案に関して好意的な発言をしたが、ギルにとってそれだけでは不十分だ。

「素晴らしいと感動するだけではなく、当局者がわたしたちと話し合いの場をもち、公共セクターが直面している諸課題について語り合うことができるようなレヴェルに引き上げたいと思っています」

「シカゴの現在の状況に加えて、シカゴが将来どのように変われるかについて議論を始める弾みになれればと願っています」とDesign With Companyのスチュアート・ヒックは付け加えた。「どのような成果につながるか皆で見守りたいと考えています」

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