神奈川のおきて

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ブランド総合研究所が毎年発表している「地域ブランド調査」。

4年連続トップは千葉県の○○市! 「全国住みよさランキング2015」発表

最新の調査では、1047の地域(1000市町村、及び47都道府県)を対象に、全国3万人が各地域のブランド力を徹底評価。ここで地域のブランドが順位にされるので、ただでさえ、近隣地域に対して自分たちの方が上だと思いがちなのに、どこもライバルに勝とうと躍起になっています。

なかでも関東7県の順位は熾烈な争いに。「千葉vs埼玉、どっちが上か問題」は、皆さんも一度は聞いたことがあるでしょう。この両県は常にバチバチやり合っています。

埼玉から見た千葉は、新幹線が止まらない田舎県であり、東京ディズニーランドはじめ、ららぽーとTOKYO-BAY、東京ドイツ村など、東京のネーミングに頼り過ぎと指摘しています。

一方、千葉からは、埼玉には海がないし、そもそも何もない。「ださいたま」というネーミング通りと対抗する。両県の間では、このように激しい口撃のやり合いが見られるのです。

この両県の争いが目立ちがちだが、群馬、茨城、栃木の争いも盛り上がっています。
埼玉と千葉が関東の3、4位だということは認めているようで、この3県では5位の座をめぐって争っています。

最近の地域ブランド(2015年度)の結果を見ると、栃木が35位、群馬が45位、茨城が47位。2014年度は、栃木が41位、群馬が46位、茨城が47位。2012年は群馬が47位に。

どうしてここまでこの3県の魅力は外に伝わらないのでしょうか。

同研究所によると、「北関東の3県は首都圏という巨大市場に近いため、地域のイメージづくりなどの必要性が弱かったからではないか」と指摘しています。

この3県についての争いは、「本気で戦争をしたらどこが勝つ?」なんて物騒な話題がインターネット上で盛り上がりましたが、皆さんはどう順位付けしますか?

さて、ここまで熾烈な関東3位争い、5位争いを紹介してきましたが、地域ブランド調査で東京の3位に続いて5位にランクインし、「永遠の関東ナンバー2」の位置を確保している県があります。

ご存じ、神奈川県
しれーっと永遠の2位というポジションにいるため、さほど他県から口撃の的になることはありません。しいてあげるならば、他県民から「横浜県」とイジられるくらい。

確かに神奈川県内で横浜の存在は大きく、この地域には370万人が住んでいます。
これは神奈川県の3分の1の人口を占めており、2位の川崎市であっても140万人。ダブルスコアとなるほど圧倒的。

神奈川県民の特徴として、出身地を聞かれると、横浜出身者はもちろんそのまま答えるのですが、それ以外の人は「横浜の方」と答えることが話題になるほど、横浜に頼っている様子。とはいえ、他の地域も実に個性的。

ツイッター上で話題となったイラスト化された神奈川県は、「横浜」「町田・相模原」「鎌倉」「小田原」といった明確な地名がついた地域と、「温泉地」「アメリカ」「山梨」「なにか」とかなりざっくり紹介されている地域に別れており、このイラストを見て納得という声が多々聞こえてきました。

ざっくり表現されたとはいえ、随分と個性的なわかれ方ですね。

神奈川県地位向上委員会でも、書籍『神奈川のおきて』の中で、同県民はあまり「神奈川県民」という認識がないと指摘。

というのも、多くの県にある「県民の日」がないためです。

「自治体ごとに個性がありすぎるせいか、県民としての統一した意識が育たず、同じ県であっても、自分が住んでいる場所以外にはほとんどキョーミをもっていない人が多いのだ」と、同書で指摘しています。

とはいえ、外部からの神奈川県への注目度は高いようで、スーモが発表する「みんなが選んだ住みたい街ランキング」では、鉄板の2トップ「吉祥寺」「恵比寿」に続き、横浜が3位にランクインしています。

しかし、これまで一強だった神奈川県内の勢力地図に、変化が訪れているのです。横浜のポジションに物凄い勢いで迫っているのが、昨年度の同ランキングで9位から5位に、一気にランクアップした武蔵小杉こと「ムサコ」です。

「ここ十数年にわたる再開発で景観は激変し、数多くの高層ビルに住戸、商業施設、医療機関などの生活機能が集約する利便性の高い街へと生まれ変わっている。大規模なリニューアルはまだまだ続き、その期待感も手伝って根強い人気をキープしているのだろう」とスーモでも解説される通り、再開発をしつつ様々な取り組みを行っているのです。

再開発が進むため仮囲いがどうしても多くなるのですが、その囲いをピアノの鍵盤に見立て、実際に音が出るような仕組み「奏でる壁」を作ったり、巨大な光のタワーをつくる「タワーオブライト」が登場したりと、五感を刺激する企画が次々と実施するCOSUGI CONVIVIAL PROJECTなどが行われています。

同プロジェクトの仕掛け人・成田冠さん(COSUGI CONVIVIAL PROJECT実行委員会事務局長)は「武蔵小杉らしい“街の価値”が生まれる可能性がある」「武蔵小杉は未来志向の街」と、今後の発展に自信をみせます。

また、意外なところで、地元・川崎市にはクラフトビールがあります。

「Brimmer Brewing(ブリマーブルーイング)」は、小規模なブルーワリー(醸造所)で作られていますが、ビール職人によって厳選された良質の天然素材を使い、何百年もの間受け継がれてきた伝統的な製法によって、最高級のクラフトビールを提供しています。

こういった地元のビールをはじめ、地元の野菜(川崎市には約1000もの農家が存在)が堪能できるのがコスギカフェ。地産地消を目指す同カフェは、地元民の集いの場となっています。この「地元愛」は武蔵小杉の魅力の一つになっているのかもしれません。

再開発と共に新しい企画を打ち出すムサコ。スーモの「今後、地価が値上がりしそうと思う街ランキング」で1位、「今払える予算内で住みたい街ランキング」で1位、「穴場だと思う街ランキング」で3位と、次々と上位にランクイン。

今のところ賃貸物件の家賃はそれほど高くなく、十分射程距離内と考える人が多いようですね。家族にも優しい地域でもあるので、引っ越し先の候補にあがるのも不思議ではありません。春からの新しい生活の場にムサコを選んでみてはいかがでしょう。

出身地を聞かれ「横浜の方」ではなく、「ムサコの方」と言われる日も近い?

<参考書籍>
『神奈川のおきて』神奈川県地位向上委員会(アース・スターエンターテインメント)