ユ・ヨン

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 2014年に女王キム・ヨナが引退して以降、それに続く有望選手がなかなか現れていなかった韓国で、フィギュア人気が再燃するかもしれない。

 その期待を一身に背負うのは、身長143センチしかない小学生、ユ・ヨン(11)だ。彼女は、1月8〜10日に韓国で行われた全国男女フィギュアスケート総合選手権で、シニアの選手を差し置いて、ショートとフリーの両方で1位に。総得点183.75点で、史上最年少優勝に輝いた。03年に12歳6カ月で同大会に優勝したキム・ヨナの最年少記録を更新する、11歳8カ月での優勝だった。それだけに、韓国メディアは「女王を超えた神童出現!!」「待望のキム・ヨナ2世登場!!」と大騒ぎ。その演技を見守ったキム・ヨナも「私が小学生のときよりもうまい」と、その才能を認めたほどなのである。

 インドネシアで事業を展開する父の仕事の関係で、1歳のときからシンガポールで育ったユ・ヨン。10年バンクーバー冬季五輪で金メダルに輝いたキム・ヨナに影響されて6歳からフィギュアを始め、本格的なトレーニングを受けるべく、13年に母と共に帰国。韓国代表選手のトレーニング施設で、かつてキム・ヨナも汗を流した泰陵(テルン)選手村スケートリンクでその技術を磨いてきた。本人によると、1日6時間は練習に費やしているという。今回の総合選手権史上最年少優勝は、まさにその成果ともいえるだろう。

 ただ、若さゆえの制約もある。今回の優勝者には3月に行われる世界選手権(アメリカ)や、世界ジュニア選手権(ハンガリー)への出場権が与えられるが、国際スケート連盟(ISU)主催の国際大会に出場できるのは、満13歳から。自国開催となる平昌(ピョンチャン)冬季五輪にも出場できない。五輪出場資格は満15歳からとなっているため、04年5月生まれのユ・ヨンが五輪に出場できるのは、早くても22年北京冬季五輪からなのである。

 それだけに、韓国のフィギュアファンたちは落胆の色を隠せないが、待望の“第2のキム・ヨナ”出現に期待は膨らむばかり。しかも、その期待が韓国代表の選抜ルールまで変えてしまいそうな勢いなのだ。

 大韓氷上競技連盟は、15年7月から国家代表選抜規定を改定。それまで年齢規定を設けていなかったが、前出のISU主催大会の年齢規定を受けて、満13歳以下の選手は才能や実績があっても代表選手に抜擢しないという方針を決めていた。ただ、それに沿うと、11歳のユ・ヨンに代表資格はなくなってしまう。昨夏まで韓国代表候補として泰陵選手村スケートリンクで練習してきた彼女からすると、練習環境が激変してしまうわけだ。そうした事情を踏まえて、メディアやファンたちは連盟に特例を設けるよう呼びかけ、連盟も特例措置を検討している。“ユ・ヨン特別法”なるものが誕生しそうな勢いなのだ。

 果たして、ユ・ヨンは国中の期待を一身に背負って“第2のキム・ヨナ”になれるだろうか? 順調に成長していけば、日本女子フィギュア界にとってはライバルとなるだけに、今後の動向から目が離せない。