CBとして2試合連続先発フル出場した岩波。ピンチも少なくなかったが、ここまでの無失点に大きく貢献している。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 戦前に抱えていたイメージ通り、タイは高い個人技をベースに積極的に攻めてきた。その対応に苦慮したのが今予選初先発を果たした亀川と奈良だ。不運な判定もPKを献上してしまった亀川は「ファーストプレーをミスしてしまったことで、消極的になってしまった」と、最後まで挽回できない悔しい出来となった。
 
 また奈良はフィジカル能力を活かしたハードチャージは光るも、ボールを持った際にもたつく場面があり、やや安定感を欠くパフォーマンスだった。
 
 それでも決定力の高くない北朝鮮、タイが相手だったとはいえ、2戦連続無失点で終えた守備陣は高く評価して良いだろう。
 
 タイ戦では圧力をかけられても北朝鮮戦のようにズルズルとラインを下げることなく、「良いラインコントロールができた」(岩波)と、修正力も見せている。
 
「俺たちが失点しなければ負けない試合が続く」(岩波)と、自信を深められているのも収穫と言える。
 
 日本は2連勝でグループBの1位突破を決めたが、準々決勝で対戦しそうなのはグループAのイランかカタール。より可能性が高いのは2節終了時でグループの2位につけるイランだろう。日本はイランとは2014年1月のU-22アジア選手権で3-3のドロー劇を演じている。それだけに、守備陣の働きはキーとなりそうだ。
 
 上々のパフォーマンスを見せたのは矢島と遠藤だ。矢島は高いパス能力と「相手のアンカーの脇を狙った」という絶妙なポジショニングで攻撃を牽引。北朝鮮戦では上手くチャンスを作れなかったチームにリズムをもたらした。
 
 一方、遠藤は守備面で高い働きを示した。「(遠藤)航くんのところで良い潰しがあってすごく助かったし、ああいうプレーがあると自分たちも自信を持ってラインを上げられる」(岩波)と、最終ラインを助け、2試合連続での無失点に大きく貢献。一時はインフルエンザによる調整不足が懸念されたが、まったく問題はないようだ。
 
 決勝トーナメントへ向け、遠藤の完全復活と矢島のハイパフォーマンスはなによりの明るい材料だった。
 
 一方、初先発した豊川と原川には“悪くない”という評価は下せるものの、減点材料も目についた。豊川は2列目からの積極的な飛び出しで攻撃の流れを作ったが、守備面で課題が残り、原川は攻守に奮闘するもラストパスをことごとく相手にカットされた。それぞれマイナス面をどう修正するかで、今後のチームでの立ち位置も変わってくるだろう。
 
 また、今回は出番がなかった大島、中島、15分少々の出場に終わった南野と、第1戦の先発組もこれで黙っているはずもなく、レギュラー争いはより激しくなりそうだ。次戦のサウジアラビア戦ではまだピッチに立っていない井手口、三竿の起用も考えられ、指揮官は理想的な組み合わせを、もう少し時間をかけて探すこととなりそうだ。
 
 なによりも大きいのは鈴木と久保に“当たり”が出たことだ。鈴木は45分の出場ながら、ワンチャンスを決め切り、久保は70分からの出場で2ゴール。結果を残したことで、今後ふたりに変なプレッシャーがかかる可能性は低くなるだろう。
 
 また後半から登場したオナイウも出場直後にチームの2点目に絡むなど存在感を発揮した。先発するもノーゴールに終わり、交代時には悔しそうな表情を浮かべた浅野もポスト直撃のシュートを放つなど、動き自体は悪くない。FW陣のコンディションが上がっているのは、チームにとってプラス材料だ。
 
 ただ、組み合わせの点から見ると、タイ戦で先発した鈴木と浅野はともに裏への飛び出しを得意としており、やや窮屈そうに見えるシーンがあった。2トップを組ませるのであればやはり久保と鈴木、もしくはオナイウと鈴木、あるいは浅野など、ポストプレーを得意とする選手と裏へ抜け出す選手の組み合わせが理想だろう。
 
 とはいえ、勝点3を狙いに来るであろう次戦のサウジ戦はさておき、決勝トーナメント以降は、より堅実な試合運びをするチームが多いと考えられ、立ち上がりから頻繁に裏を突くことは難しいだろう。そうなると、浅野はやはり当初の予定通りスーパーサブでの起用が増えるのかもしれない。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)