では、膵炎に罹った場合の治療法とはどんなものなのだろうか。片岡氏によれば、「要因を取り除いていけば治る例は多い」と言う。
 「例えば急性の場合、アルコールが主な原因であれば、胆石を取り除くことから始めます。一方、慢性の場合は“不可逆性”すなわち“治らない”という視点から治療に入り、まずは進行を止めることに重点を置くことを優先する。加えて最近では、日本で『早期慢性膵炎』の項目を入れたガイドラインが作られている。これは世界で初めてのことです」(同)

 発症すると、がんのリスクが高くなる慢性膵炎。そこで日本では、早期慢性膵炎からの医療の介入が、徐々にではあるが試みられているという。
 「“治療を始めれば治る可能性がある”という段階が、早期慢性膵炎です。通常の膵炎は、超音波やCTで診断ができますが、早期慢性膵炎はそれでは分かりません。そこで、超音波内視鏡という機器で精密検査を行うのです」(同)

 しかし、現時点ではまだ、医療施設が整っている病院が少なく、膵臓の専門医でなければ診断は難しい。加えて現段階では膵臓の専門医自体が少ないため、病院のホームページなどで医師のプロフィールを確認した上で、受診をすべきだという。
 「早期慢性膵炎の診断までいかなくても、慢性的に腹痛があり、飲酒習慣がある場合は、胃カメラだけではなく血液検査や超音波などで膵臓を調べることが大事です。せめて慢性膵炎のチェックはすべきでしょう」(担当医)

 いずれにしても膵炎は、比較的発症しやすい病で、激痛が走る場合がある一方、初期段階や軽度の症状では診断が困難なことも少なくないという。胃などの消化器科の病気と間違われることもあるほどだ。
 「そのため、特にアルコールや胆石などの明確な原因がなく突然発症した中年以降の患者の場合、腫瘍の存在を念頭に置かなければなりません。また、急性膵炎が治った人でも、後に腫瘍の疑いを持ち、しっかり検査を行うことが肝要です」(同)

 膵臓がんの死亡者数は年々増加を続け、臓器別がん死亡数では、男女全体で肺がん、胃がん、大腸がんに次いで第4位(男女別では男性が第5位)となっている。そうならないためにも、生活習慣や症状に覚えのある人は、積極的に医師に相談しよう。