4得点中3ゴールがFWの得点に。後半途中から出場した久保(11番)は、PKを含む2ゴールを奪取した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全2枚)

 タイに4-0で快勝し、まずは第一関門のグループリーグ突破を決めたことを素直に評価したい。この試合、北朝鮮戦から先発を6人も入れ替えて、誰もが虚を突かれただろう。第1戦と同じメンバーで臨めば、コンビネーションをより深められたとも思うけれど、手倉森監督はあえて大胆な策を選択した。
 
 ただ、結果的に4点を奪い、なおかつ2試合連続の完封勝ち。2点目をアシストした原川にしろ、最終ラインを牽引した奈良にしろ、新たにチャンスを与えられた選手がアピールしたことはチームの幅を広げる意味で大きかった。彼らに自信を植え付けられたという点でも、手倉森監督の采配は見事だったと言える。
 
 6人もスタメンを入れ替えたにもかかわらず、コンビネーションもそこまで悪くはなかった。後半にチーム2点目を決めた右MFの矢島は、右SBの室屋とまずまずの呼吸を見せた。北朝鮮戦で先発した中島も良いプレーを見せていたし、今後どういうシステムや起用法で戦うのか、良い意味で悩みを抱えた試合だったろう。
 
 加えて、FWにゴールが生まれたのも見逃せない。先制点を奪った鈴木は、決して簡単なシュートではなかったが、勝負強さを発揮しよく決めたと思う。浅野や豊川がチャンスを逃し嫌な雰囲気が漂っていただけに、それを払拭した意義は大きい。
 
 後半に2ゴールを決めた久保もプレーに自信が漲っていた。体幹が強く、シュートフォームが崩れないから狙ったコースへ確実に撃てる。技術や勝負強さはFW陣では頭ひとつ抜けているだけに、このまま調子を上げれば、得点量産も期待できそうだ。
 
 一方で気掛かりなのが南野だ。この2試合のパフォーマンスを見る限りでは、まだチームにフィットしているとは言えない。南野の突出した得点力や打開力は、大きな武器になるのは間違いない。決勝トーナメントに向けて南野を活かす手を探る必要があるだろう。
 
 
 
 北朝鮮、タイとの2戦を振り返ると、及第点は与えられる。ピンチを迎えても、守備陣の奮起で持ち堪えながら2試合連続の無失点勝利だ。ただ一方で、五輪の出場権獲得というミッションを果たすには課題もある。
 
 ポゼッションを選択するのか、カウンターを仕掛けるのか。どちらの戦術を取るにせよ、チーム全員が“同じ絵”を描けるかが重要。今の戦いぶりを見ていると、チームとして戦況に応じた柔軟な戦いができているかと言われれば素直に頷けない。
 
 “同じ絵”を描けるようになれば、チームのポテンシャルをもっと引き出せる。本大会出場の可能性はグッと高まるはずだ。
 
 選手個々の出来を見れば、技術的なミスが散見される。ただ、潜在能力は目を見張るものがあり、とりわけ興味深いのは、高さと強さを誇る岩波、植田、奈良のCBだ。日本に屈強で高さのある人材は枯渇気味だっただけに、彼らには大いに期待している。
 
 初戦の北朝鮮戦を苦しみながらも勝ち切った自信と団結力を手に、続くタイ戦では取るべき選手がゴールを奪い、順調な足取りで連勝を飾った。この勢いのまま第3戦のサウジアラビアでさらに弾みをつけ、決勝トーナメントへと向かいたい。