1日4回以上なら頻便/shutterstock

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 尸(しかばね)に水なら尿(にょう)、尸に米なら屎(くそ)――。屎のルーツは古く、『日本書紀』に「臭し、腐る」とある。「くそまる(排便する)、ゆまる(排尿する)」から「おまる」になり、「まる、ばる」から「ばりかぶる(排便する)、ばば」となる。

 食べ物がウンコ(便)になるまでの消化・吸収・排出の仕組みをおさらいしよう。

 口で噛み砕かれた食べ物は、唾液(1000〜1500㎖)とともに食道を通り、胃で胃液(1500〜2000㎖)と混ざり合って粥状になる。その後、十二指腸で膵液と胆汁が加わり、小腸へ向かう(2.5〜5時間)。小腸で小腸液が加わり、消化物のおよそ90%の水分が吸収され、同時にタンパク質はアミノ酸、炭水化物はブドウ糖、脂肪は脂肪酸に分解・吸収され、大腸へ向かう(5〜8時間)。

 大腸は、小腸で消化・吸収されなかった食物繊維を腸内細菌の力で発酵・分解しながら、水分やナトリウムなどの電解質を吸収し、液状や固形状の便を形成する(15〜20時間)。大腸に長く留まる時間が長いほど水分の吸収が進むため、硬い便になる。便秘なら3〜4日から1週間も便が滞留する場合がある。固形状の便は、下行結腸からS状結腸に押し進み、肛門から排出される。

1日3回〜週3回は正常、1日4回以上なら頻便!

 理想的で正常ないいウンコ(便)は、どのような状態なのか?

 第1は、適切な排便量。1回の排便量は、男性35〜450g、女性5〜335g。食物繊維を多く食べている人ほど、便の量が多い。1日平均排便量は、日本人は200g、肉食が多い欧米人は100g、食物繊維の摂取が多いウガンダ人は500gだが、個人差が大きい。

 第2は、適切な硬さ。便の性状をチェックするブリストルスケールによれば、大腸での滞留時間が長くなり、水分が吸収されてカチカチに硬くなったのがタイプ1。逆に、おしりがただれるような液状便はタイプ7。70〜80%の水分を含むタイプ3〜5が正常な便だ。

 第3は、適切な回数。頻便や腹部膨満などのトラブルが少ない1日3回〜週3回の範囲が正常だ。1日4回以上にならタイプ6や7の下痢便になり、週2回以下にならカチカチに硬くなり、出しづらくなる。

頻便は便失禁を起こすリスクを高める!

 では、排便量や硬さのバランスが崩れる、1日4回以上の頻便は、なぜ起きるのか?

 さまざまな原因があるが、頻便になると特に便失禁を起こしやすくなる。通勤中、会議や授業中、買い物中などに急に便意を催して我慢できずに漏らす、気がつくと漏れている、それが便失禁だ。国際失禁会議によれば、自らの意思に反して、社会的、衛生的に問題となる状況で便が漏れる症状と定義する。

 便失禁は、2つのタイプがある。

 漏出性便失禁は、便意を催さないため、気付かないうちに漏れる排便障害だ。肛門を締めている内肛門括約筋が、何らかの障害で緩むので、直腸に残像している少量の粘液や便汁が漏れる。

 切迫性便失禁は、便意を催すが、外肛門括約筋の障害によって肛門を締め切れないために、トイレまで我慢できずに漏れる排便障害だ。ただ、外肛門括約筋は正常でも、直腸がんの切除手術で直腸の容量が小さくなって便を溜めきれなくなるケースもある。また、ストレスによって腹痛、下痢、便秘などを起こす過敏性腸症候群(IBS)のために、腸の収縮力が肛門の締める力よりも強まって発症する場合もある。

 便失禁の症状のある人は、20〜65歳で4%(約310万人)、65歳以上で7.5%(約135万人)とされ、女性や高齢者に多い。女性は、分娩時の会陰裂傷や会陰切開によって外肛門括約筋を損傷するからだ。特に高齢者の女性は、内肛門括約筋が薄くなり、収縮力が弱まるために発症しやすい。

 その他、痔ろう、裂肛、内痔核の手術による括約筋損傷、直腸がんの手術後に硬く大きな便の塊が直腸に溜まる直腸性便秘、脊髄損傷などによる直腸の知覚障害や排便関連筋群の機能喪失、学童期の男児に多い遺糞症(いふんしょう)などが誘因となって、便失禁を生じることも少なくない。

 このように、頻便が引き金になって便失禁が起きるリスクは高まる。だが、ほとんどの頻便は、腸の働きが低下して起きる。腸内環境が悪くなると、状況や環境の変化にストレス過剰になるため、腸の動きが活発化し、便が肛門まで押し出されやすくなるからだ。

 つまり、お腹がゆるむのは、腸内の悪玉菌が多くなり、腸内環境が悪化しているためだ。善玉菌を増やし、腸内環境を整えれば、免疫力が高まり、便通異常や体調不良が和らぎ、頻便が抑えられる。日頃から、腸内環境を整えておくことが何よりも大切だ。

 頻便、腹部膨満、腹痛、下痢、便秘など、お腹の調子に少しでも異変を感じたら、病院や診療所で早めに診断を受けてほしい。
(文=編集部)