時代は違っても胃の痛みは変わらなかった?(c) South Tyrol Museum of Archaeology/Eurac/Samadelli/as_20160115102918.jpg

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伊アイスマン研究所、独キール大学、チュービンゲン大学、墺ウィーン大学など欧州の複数の研究機関の共同研究チームは、約5300年前の男性のミイラ「アイスマン」の胃から、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が見つかったと、米国科学振興協会誌「Science」2016年1月8日号(Vol. 351, Issue 6269)で発表した。

アイスマンは1991年にイタリアとオーストリアの国境付近で発見された氷漬けのミイラ。保存状態がよく、着ていた衣服の素材や付着した花粉まで調査され、初期ヨーロッパ人の外見や生活など、多くの発見が得られた。

研究チームは、2011年に発見されたアイスマンの胃から残留物を採取し、DNAを分析した。その結果、現代のヨーロッパ人には見られない、これまで検出された中では最古のピロリ菌が見つかったという。

ピロリ菌は胃がんの原因となるほか、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍など多くの疾患を引き起こすことで知られるが、人間に感染する微生物としては古くから存在し、10万年以上前から保菌されていたことがわかっていた。かつては全人類の半数が感染していたこともあるが、現在は検査や除菌療法が確立され、保菌者数は減少している。

今回アイスマンから発見された菌は、大部分がアジア系統の「AE1」という菌株で、現代のヨーロッパ人に見られるアフリカ系の菌株「AE2」がほとんど見られなかった。

また、炎症に反応して発生するたんぱく質の痕跡も胃から見つかり、アイスマンは死亡時に重度の胃痛に悩まされていた可能性があると、研究者らはコメントしている。

参考文献
The 5300-year-old Helicobacter pylori genome of the Iceman.
DOI: 10.1126/science.aad2545 PMID: 26744403

(Aging Style)