北朝鮮戦では攻撃陣が不発に終わった。遠藤や大島のゲームコントロールで、前線の得点力を引き出したいところだ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 リオデジャネイロ五輪アジア最終予選で日本は、北朝鮮との初戦を接戦の末に1-0でモノにした。予選突破へ勝点3を掴み取った事実は大きいが、その内容に目を向ければ、決して楽観視はできない。6大会連続の五輪出場へ、果たしていかなるポイントが鍵を握るのか?
 
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ポイント1)臨機応変な攻撃プランの変更
 
初戦のプレッシャーを感じてか、本来のプレーができなかった北朝鮮戦でセットプレーからゴールをこじ開けられたのは大きい。山中亮輔からのボールに対し、ゴール前では岩波拓也がニア、遠藤航と鈴木武蔵が中央に飛び込んでマークを引き付けると、ファーサイドに流れてフリーとなった植田直通が右足で決めた。
 
 これまでチームは決してセットプレーからの得点が多くなかったが、北朝鮮戦前の非公開練習で入念にセットプレーを確認していた。北朝鮮戦でのパターンはそのひとつ。手倉森監督に言わせると、「10パターンぐらい練習した」という。この先も膠着するゲームは間違いなく訪れるため、セットプレーの精度をより一層高めておきたい。
 
 しかし、チームには久保裕也、南野拓実、浅野拓磨と得点力が高い選手が揃っているものの、現時点ではまだ彼らの力を活かしきれていない。たしかに練習では、縦に速い攻撃から複数の選手が飛び出し、攻撃に厚みをもたらしたり、ワンタッチのパス交換から複数の選手が連動して崩したりするパターンを入念に繰り返してはいる。
 
 だが北朝鮮戦がそうだったように、前半はセーフティなプレーを優先し、ロングボールを多用する場面が多かった。そのため後半に入り、試合状況が変わっても、なかなか攻撃のプランを変更できなかったのだ。
 
 北朝鮮戦のように相手に付き合ってしまっては、再び苦しい展開を強いられることは明白だ。大島僚太や遠藤を中心に、ゲームコントロールにも磨きをかけたい。
 
 
ポイント2)ディフェンスの意思統一
 
 守備面では北朝鮮の繰り出すロングボールに対し、岩波、植田のセンターバックコンビを中心に撥ね返し、制空権を簡単には譲らなかった。その前に控えるボランチの遠藤もインターセプトを何度か披露。中央やクロスから簡単にやられはしないことを改めて証明した。
 
 とはいえ、センターバックコンビに「引いて守ればやられない」という自信があるためか、ライン設定がやや低くなる傾向があり、それがコンパクトな陣形を保てなくなる要因のひとつとなっていた。北朝鮮戦でセカンドボールを拾えなかった理由がここにある。
 
 もちろん、そうした場合は前線の選手を少し下げ、自陣でコンパクトな陣形を保てば問題はない。しかし、初戦のプレッシャーや緊張などから硬さが見られ、その辺りの意思統一がなされていないシーンが何度も見られた。言うなれば、個人の能力と気迫で守っていたようなところがあったのだ。
 
 また、ブロックを築いて守るのか、前からプレッシャーをかけて奪いに行くのか、その意思統一も乱れ、「相手に蹴らせないためにFWに追いかけてもらったり、DFが撥ね返したボールを戻って来て拾ってもらったりと、FWに対してすごく厳しい要求だった」と大島は振り返る。
 
 守備からチーム作りを進め、簡単にはやられない、粘り強い対応ができるようになってきたが、時間帯や戦況に応じた守り方をさらに“チームとして”詰めておかなければ、決勝トーナメントでは命取りになりかねない。
 
ポイント3)指揮官の見極めと決断力
 
 手倉森監督は及第点の采配を見せた。北朝鮮戦では、インフルエンザを患い、しばらく実戦から遠ざかっていた遠藤を起用。ゲーム勘を取り戻させ、後半途中からは原川力を投入し、試合の流れを変えることに成功した。