北朝鮮戦で披露したのは2パターンのみ。キッカーの山中は、手倉森監督から"温存"を指示されていたと言う。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 リオ五輪最終予選の初戦・北朝鮮戦で勝利を手繰り寄せたのは、入念に準備を行なってきたセットプレーだった。そのパターンの数を手倉森監督は「10個ほど」と話す。
 
 北朝鮮戦で見せたのは、そのうちのふたつだという。キッカーを務める山中は「(北朝鮮戦は)2種類に制限されていました。そのふたつでなんとかやってくれと言われました」と明かす。先制点の場面も「蹴るところは決まっていた」(山中)のだという。
 
「ニアのストーン(相手)の後ろをチームとして狙っていた」と、山中の左足からのボールは正確に植田の足もとに届き、貴重な先制ゴールにつながった。

 21分にはスルスルとファーに抜け出した岩波にボールを合わせるサインプレーも披露。頭での折り返しはゴールラインを割ったが、北朝鮮のDF陣は岩波を完全にフリーにしていた。

 手倉森監督と山中の話を総合すると、用意しているセットプレーの形は残り8つとなる。その各々をどこでどう使うのか、山中は笑みを浮かべながら「小出しにできればと思います」と語る。

 もともと守備に重点を置く手倉森ジャパンにとって、セットプレーからの得点はまさに理想の形と言える。果たして次戦のタイ戦ではいくつのサインプレーが見られるのか、その点に注目してゲームを見れば、面白さが増すのかもしれない。
 また、キッカーを誰が務めるのかも気になる。左はチームで唯一のレフティである山中で決まりだが、右は大島、南野、矢島、原川が揃う。この点はレギュラー争いにも影響しそうで、ボランチの大島と原川、中盤2列目の南野と矢島と、チーム内のライバル関係にも密接につながっている。

 それぞれのキックの調子が手倉森監督の先発選びの大きな基準になる可能性もある。

 加えて、ターゲットマンとなる岩波、植田の決める切る力も重要になるだろう。北朝鮮戦では植田に“当たり”が出たが、「本番に強いタイプ」と自らを評する岩波のここぞという決定力にも期待できる。

 北朝鮮に続きタイ戦でもセットプレーからゴールを奪い、勝利を収められれば、まさにチームの“必勝パターン”と言うことができるだろう。得意の形をより確立させるために、2戦連続でのゴールを目指す。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)