専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第37回

 ゴルフ関連の仕事をしているので、プロゴルファーの方とラウンドする機会が結構あります。その際は、その圧倒的な飛距離におののき、アプローチの正確さにただただ驚嘆するばかりです。

 さらに、優勝経験のあるトーナメントプロは、異次元のプレーを見せてくれます。フジサンケイクラシックやブリヂストンオープンなど、ビッグトーナメントで優勝している丸山大輔プロと親しくさせていただいておりまして、何度か一緒にラウンドしたことがありますが、当然のことながらフルバックからのラウンド!?......って、そこですかぁ〜驚くのは?

 いえ、それは冗談です。丸山プロのショットで驚くのは、アイアンで打ったボールが恐ろしく高いこと。飛んでいる雲雀(ひばり)を落とすがごとく、と言いますか、ギュイ〜ンッとボールが上昇していって、グリーン上にボールがドスンッてなものです。

 そのすごさは、テレビ画面からはなかなか伝わってきませんよね。プロのプレーの本当のすごさは、近くで見て初めてわかる部分が多いです。

 スコアも、当然アンダーが目標です。練習ラウンドのときに、常に「ハーフ、2つぐらいは潜りたい(アンダーパーで回ること)」と言っていました。さすれば、1ラウンドで4アンダー。本番となる4日間のトーナメントで考えれば、16アンダーとなり、「優勝争いに絡める」ということになるわけです。

 現役のトッププロとは別に、かつて活躍したプロやレッスンプロとなると、一緒にラウンドしたとしても、ほんの少しだけ我々に近いスコアになります。ただ逆に、そういう方々は「70台」は必須といったようなプレッシャーを抱えていて、80台が近くなったりすると、真剣そのものです。

 プロは死ぬまでプロ。叩いちゃいけないのが"宿命"ですかね。

 さて、プロゴルファーの飛距離ですが、最近の飛ばし屋はドライバーで平均300ヤードという世界に入っています。何を食べると、そうなるのか? まったく見当がつきません。

 一方で、トップアマの飛距離はどうでしょう。アマチュアでも、全国的に有名な方は結構飛ばします。

 以前、北海道クラシックゴルフクラブ(北海道勇払郡安平町)で行なわれた日本アマチュア選手権を取材したときのことです。実は、たまたま知り合いのクラチャン(各ゴルフ倶楽部で開催されているクラブ選手権の優勝者)が出場していて、びっくり仰天。その成り行きを見守っていました。

 結局、知り合いのクラチャンは、残念ながら予選で敗退してしまったのですが、そのときに彼が「ドライバーは250ヤード飛ぶけど、ここじゃあ、あと20〜30ヤード飛ばさないと上位に行けない」と言っていました。その後、彼は飛距離アップに成功し、関東月例(関東ゴルフ連盟主催の月例競技)でも優勝。トップアマとして、常に好成績を残していますけどね。

 要するに、現在の日本アマクラスのドライバーの飛距離は、プロ並みの平均280ヤードレベルかと思います。それが証拠に、愛知カンツリー倶楽部(愛知県名古屋市)で行なわれた試合では、面白い現象が起こりました。

 愛知カンツリー倶楽部と言えば、フェアウェー右に通称「アパッチ砦」と呼ばれる大きな丘がある14番ロングホール(548ヤード)が有名です。攻略ルートは、最短ルートとなる「アパッチ砦」越え(約290ヤード先がベスポジのフェアウェー)を狙うか、左の平らなフェアウェーから攻めるか、どちらかに分かれます。「アパッチ砦」越えというチャレンジの結果次第では、十分にイーグルも狙えます。

 1964年の日本アマでは、中部銀次郎選手が左の平らなルートを選択し、きちんと刻んで3オン。その安定したプレーで2度目の優勝を飾った逸話がよく知られています。

 ところが、2007年の日本アマでは、多くの選手が「アパッチ砦」越えを選択し、難なく攻略してしまったのです。そうなると、試合の行方を左右するポイントとも言えず、もはやドラマ的にはどうなの?って具合になりました。

 ちなみに、今やプロはみんな、「アパッチ砦」を越えて打ってしまうので、ロングホールとしての意味をなさなくなり、2010年の日本オープンでは、454ヤードのミドルホールとして設定されていました。名匠・井上誠一氏の設計ですが、設計の予想を超える飛距離の伸びには、先生もあんぐりといったところでしょうか。

 あんぐりと言えば、先述した丸山プロが、アメリカツアーで出会った飛ばし屋たちのエピソードを最後に紹介しましょう。

 まずは、ジョン・デイリー。全盛期を過ぎたとはいえ、330ヤードぐらいは飛ばしていたそうです。そのくせ、バンカーで叩いたときは、聞いてもいないのに「さっきは小石がはさまったんだ」と、弁解するお茶目なところもあるんだとか。

 そして、バッバ・ワトソン。丸山プロは世界一の飛ばし屋とも一緒にラウンドしていて、「ドライバーでは、100ヤードは置いていかれた」と嘆いておりました。日本人プロの飛距離が平均280ヤードなら、380ヤードも飛ぶってことですか? 多少差し引いても、350ヤードは飛んでいるのでしょう。

 まるで場外ホームラン2個分の飛距離って、人間の成す業でしょうか。良い子の皆さんは、決して真似をしてはいけません。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa