昨季、米女子ツアー本格参戦を果たした横峯さくらが、「今季はスタートダッシュを決めたい」と、2年目の飛躍へ意欲を見せている――。

 ルーキーシーズンとなった昨季は、26試合に出場してトップ10フィニッシュが2回。自身の最終戦となったロレーナ・オチョア招待(11月12日〜15日/メキシコ)での5位が最高位だった。期待されたツアー優勝は飾れなかったものの、およそ38万ドル(約4500万円)を獲得し、賞金ランキングは44位。賞金ランク80位までに与えられる翌年のシード権獲得は難なくクリアした。

 この成績をどう捉えるかは、意見が分かれるところかもしれない。2009年日本女子ツアーの賞金女王であり、その後も日本のトッププレーヤーとして活躍してきたことを考えれば、この結果では決して「満足できない」と言う人はいるだろう。

 一方で、日本とはまったく違う環境でのプレーとなり、しかもそのシーズン1年目。なおかつ、シーズン開幕から3試合連続予選落ちという苦しいスタートを切ったことを考えれば、この結果は十分に「健闘した」という見方もできるのではないか。

 どちらにせよ、全26試合に出場した横峯が、精力的に米ツアーに挑んでいたことは確かだ。特にシーズン終盤は休むことなく、10、11月のアジアシリーズから、メキシコ開催のロレーナ・オチョア招待まで、長距離移動を伴いながら6試合連続出場というハードスケジュールをこなした。当初は、その後のツアー最終戦となるCMEツアー選手権(11月19日〜22日/フロリダ州)参戦も視野に入れていたが、さすがにそのタフな日程をこなすのは無謀と判断したのだろう。ロレーナ・オチョア招待で5位に入ってシーズンを終えた。

 横峯がそこまで戦い続けたことには、ワケがある。

 ルーキーの横峯にとっては、すべてが初コースとなる。つまり、自分のプレー、ゲームに合うか、合わないかは、実際に現場に行って、プレーしてみなければわからないのだ。ゆえに、積極的に試合に出場し、プレーすることでコースの見極めを図ってきた。

 すべては、2年目のシーズンに向けて、である。

 要は、コースを見極められれば、今季からは自分に合ったコースを選んで、スケジュールを組むことができるからだ。そしてそれが、ツアー優勝にもつながっていくと、横峯は考えていた。

 その思惑に、間違いはないだろう。横峯にとってそうした1年目の経験は、必ず2年目に生かされるはずである。

 期待膨らむ横峯の2年目。アメリカの生活に慣れてきたことも、その後押しとなる。横峯が語る。

「3週連続の予選落ちがあったりして、序盤戦は不甲斐ない思いをした。(初の米ツアー参戦で)右も左もわからず、すごく戸惑った時期もあった。それでも、最初の頃に比べたら、中盤以降は米ツアーのサイクルにもだいぶ慣れてきて、少しずつ落ち着いて生活できるようになってきました」

 実際、横峯にゆとりの笑顔が見られるようになったのは、シーズンも半ばを過ぎてからだった。それまでは地に足が着いていないというか、困惑の表情を浮かべていることが多く、ゴルフに集中できていない感があった。

 しかし、そうした横峯の不安や戸惑いは少しずつ解消されていった。そこには、夫であり、メンタルトレーナーでもある森川陽太郎氏の存在があった。森川氏が、私生活、ゴルフ両面において、横峯をしっかりとサポートしたおかげだ。

 ゴルフの上では"チーム横峯"の一員として、日々意見をかわしていた。ラウンド後はいつもふたりで、その日のプレーについての反省、検証を欠かさなかった。そして、翌日の目標もふたりで話し合って決めた。

 そんな中、印象的だったのは、のんびりと構えている横峯に対して、森川氏が「チームのリーダーはさくら。君が指揮を執らないとダメだ」と指示。"チーム横峯"の舵取りを横峯自身に任せたことだ。それによって、横峯の前向きなスタンスを引き出し、何事にもアグレッシブにトライしていくような状況を作っていった。

 また、米ツアーにおいては、長距離移動を強いられる遠征生活が、日本とは比べ物にならないほどタフだ。その負担を少しでも減らすため、夏にはキャンピングカーを購入した。おかげで、その移動中に横峯は体を休ませることができ、横峯のゴルフへの集中力が増していった。

 そうして、ふたりの、いや"チーム横峯"の生活スタイルが徐々に確立し始めてからは、横峯の気持ちにも余裕が生まれ、成績もだいぶ安定するようになった。

 とはいえ、横峯自身、1年目の結果に満足しているはずがない。前述したように「健闘した」と周囲は見ていても、本人は「悔しい!」と思っているに違いない。横峯は言う。

「私は、トップ10入りもしたけど、予選落ちもある。それだけ、波がある選手。日本ツアーであれば、『多少(調子が)悪かったな』と思っても予選を通ることがあるけど、こっちではそうはいかない。大事なことは、その波を少しでも小さくすること。それが実現できれば、上(優勝)も見えてくると思う」

 そのために、このオフも精力的にトレーニングに励んでいる。

「(米ツアーで優勝するには)もっともっとうまくならないといけない。特にショートゲームの精度がまだまだ足りないと思う。そこは、しっかりと練習していきたい」

 外国嫌いだったはずの横峯。しかし今、彼女の戦う姿は米ツアーにある。その舞台で狙っているのは、もちろん優勝という結果だ。昨年12月、30歳となった彼女の"挑戦"が実ることを期待したい。

武川玲子●文 text by Takekawa Reiko