「日本酒セラー開発プロジェクト」発表会にて、(写真左から)蔵元の高木顕統氏、寺岡洋司氏、プロダクトデザイン担当の佐藤オオキ氏、中田英寿氏、清水浩二氏が登壇

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「モノづくりニッポン e仕事×ReVALUE NIPPON」プロジェクト第3弾「日本酒セラー開発プロジェクト」記者発表会が1月13日(水)、都内で開催。発起人である元サッカー日本代表の中田英寿氏と、プロダクトデザインを手掛ける「nendo」代表の佐藤オオキ氏らが登壇し、トークセッションを行った。

【写真を見る】この世にない“日本酒セラー”について、「無理難題を言っていますが、できますよね?」と中田氏

同プロジェクトは、モノづくりによって日本の若者の働き方を豊かにしていくことを目的に、日研トータルソーシング社(東京都大田区)と中田氏の協同で立ち上がったもの。2015年には、漆芸家で人間国宝の室瀬和美氏と、現代の日本の“塗り”を支える業界No.1企業である関西ペイント社も参画。ジャパンクオリティを次世代に繋いでいく一流の「塗師」を募集・育成し、国際博覧会が開かれるミラノでその魅力を伝えるなど、国内外でも活動の場を広げている。

2016年、第3弾となる今回は、日本全国250か所以上の酒蔵を訪問した中田氏が蔵元との会話から生まれた「日本酒セラー開発プロジェクト」に決定。「ワインにワインセラーがあるように、日本酒にも“日本酒セラー”が作れないだろうか。最適な熟成保存ができるようになれば、世界にも日本酒をもっと広められる」という着想からアイディアが広がったという。

今回の発表会には、日研トータルソーシング社・代表取締役の清水浩二氏、老舗蔵元の磯自慢酒造(静岡県焼津市)の寺岡洋司社長、「十四代」で知られる蔵元・高木酒造(山形県村山市)の15代目・高木顕統氏も登場し、トークを展開した。

中田氏は各地の蔵元を訪れた際、「おいしいお酒を作っている方が、どうやって売っていくか、最終的にどう飲んでもらうかといった話をしている中で、作りにこだわっているところほど、品質管理、作るときもそうですし、売っていくときにもちゃんと管理してもらえるところに売っていく、という背景があり、いいお酒はなかなか手に入りづらい現状があると思うんですけど、希少性を出すというよりも、ちゃんと管理してもらえるところに出していきたいという作り手の思いがある」と感じたという。

さらに、日本酒と温度管理の関係について「日本酒は他のワインなどに比べても、品質管理、温度や湿度の管理が非常に難しい飲み物。海外でも、国内でも、日本酒を何度で管理すればいいかを知っている人はほとんどいない。海外ではワインセラーに置いておけばいいと考えている人もいる。まあ、それだと駄目なんですけれども(笑)」と語った中田氏は、「逆に、ワインセラーというものがあるから、何度でワインを管理すればいいかがわかる。そういうものを日本酒でもやってみたいという思いが前々からあったので、清水さんと話をして始まったプロジェクトです」と言葉を続けた。

「日本酒セラーの中で一つチャレンジしていきたいのが、“日本酒セラー”というだけでは海外では難しいところがありますが、できれば日本酒もワインも両方入れられるものを設計したら、世界でも受け入れられるんじゃないかと。そういったところを見据えながら、清水社長には無理難題を言っていて(笑)。オオキさんには、世界で受け入れられる、だけど日本を感じさせるデザインを作ってほしいですね」と構想を語った。

以前より交流のある佐藤オオキ氏は「中田さんとの会話のキャッチボールは、とてもクリエイティブな面が刺激されるので毎回楽しみ」と話し、今回のデザインについて、「いろいろな話を聞く中で、日本酒というのは、もはや“生もの”を超えて、“生きている”と感じました。実際に変化していく様子が、ひとつの生命体のような感覚があって。ですので、今回も工業製品を作るというよりは、日本酒に快適に生活してもらうための家を設計する感覚でデザインしていますね」とコメントした。

また、高木氏は「これまで、とにかくいい酒を造ろうと取り組んできましたが、流通段階で質が落ちてしまうなど、冷蔵や貯蔵、低温熟成の大切さが身に染みました」と話し、寺岡氏も「おいしいお酒ほど敏感。普通酒以外の“吟醸”というものができてからまだ30年ほど。今は、冷や酒、熱燗だけではない楽しみ方が広がってきている」と話し、蔵元として日本酒の歴史を振り返った。

最後に、中田氏は「海外でも、日本酒の評価は高まっていますし、国内でも、よりいい状態で、日本酒という文化をどれだけ楽しめるか、という環境作りをやっていかないと、モノというのは伸びないので。今回のプロジェクトは、いい切り口になったらと思っています」と意欲を見せた。

また、同プロジェクトの一環として、1月13日(水)から15日(金)の3日間、日本で唯一の日本酒の温度変化が楽しめる「日本酒ラボ」が期間限定でオープンすることも発表。無料の試飲や、12種類の日本酒を1杯300円で提供する。【東京ウォーカー】