イヌ同士も深い無償の愛で結ばれている

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盲導犬や介助犬、災害救助犬と、どれほど私たち人間はイヌの「無償の愛」に助けられているかわからないが、イヌが仲間のイヌにも献身的に尽くすかどうかははっきりしていなかった。

イヌが人間に尽くすのは、人間を群れのリーダーとみなして「忠誠心」を持つからという見方が一般的だったが、2015年12月、イヌは仲間にも「共感」しているという研究が相次いで発表された。

お腹がすいた仲間に喜んでエサを運ぶ

その1つが、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の12月25日号に発表されたオーストリアのウィーン獣医科大学の研究だ。イヌが仲間のイヌにエサを分け与えるかどうかを実験で検証した。過去の動物の研究では、人間に近い霊長類とネズミ、カラスが、食べ物がなくて困っている仲間にエサを与えることがわかっている。

研究チームは、16匹のイヌを対象に、エサを与えられずに檻の中に入れられている他の犬に、エサを運ぶかどうかを実験した。まずエサを入れたトレイと空っぽのトレイを用意。それぞれのトレイには紐がついており、口にくわえ引っ張って運ぶことができるようにイヌの前に置いた。そして、檻の中でエサを欲しがって「ワンワン」吠えている仲間にどう反応するか観察した。

すると、大半のイヌが、檻の中のイヌが知り合いの場合はエサの入ったトレイを運んだ。見知らぬイヌの場合でも運ぶイヌがいたが、その頻度は知り合いの場合より少なかった。実験では、エサを運んでもイヌには褒美を与えなかったため、純粋にイヌの自由意志に任せた形だ。

また、見知らぬイヌを恐れて運ばない可能性があるため、エサを運ぶと褒美を与える実験も行なった。すると、すべてのイヌが見知らぬイヌにもエサを運んだ。つまり、見知らぬイヌを怖がって運ばなかったわけではなく、仲間意識からくる行動と証明された。

研究チームのリーダー、フリーデリケ・レンジ博士は「イヌは困っている仲間に喜んでエサを運んでいます。イヌの社会性が人間に対してだけではなく、イヌ仲間にも発揮されていることがわかりました」と語っている。

イヌは相手の表情や行動を瞬間的に真似ている

もう1つの研究は、イタリアのピサ大学のチームが、英国のBBC放送に発表した観察記録だ。シチリアのパレルモ市内の公園で、イヌ同士が遊ぶ様子を50時間にわたって録画した。その録画を詳細に検証したところ、イヌ同士が相手の表情や行動を瞬間的に真似し始めることがわかったという。研究チームは「相手の表情を真似することは、高度な『共感力』がないとできません」とコメントしている。

イヌを飼っている人なら、飼い主の心を察知する能力にたけていることは何となくわかるが、このように科学的に証明されるとうれしいものだ。