同級生から受けるいじめは、子どもの心に大きな傷を与える。その影響は親など成人から受ける虐待より深刻であることを、英ウォーリック大学の研究チームがまとめ、2015年5月に英精神医学誌「TLP」に発表した。

研究チームは、英国と米国で行われた、いじめと虐待に関する2つの研究をもとに将来の青年期に与える影響を比較した。英国の研究は、生後8週間から9歳までの間に成人から虐待を受けた子どもと、8歳、10歳、13歳の時点でいじめを受けた子どもの計4026人を対象に心の傷の調べたもの。

一方、米国の研究は、9歳から16歳までの間に、いじめや虐待を受けた子ども計1273人が、その後19歳から25歳までの間で、どういう心の問題を抱えたか調べたものだ。

子どもが発するSOSを、早く、しっかり受け止める

研究チームは、2つの研究で対象にされた子どもたちが、その後、青年期に精神面でどういう影響を受けたか分析した結果、次のような傾向がわかった。

(1)いじめに遭ったが虐待を受けていない子どもは、虐待を受けたがいじめに遭っていない子どもに比べ、青年期になってから「うつ病」「不安障害」「自傷行為」などの精神疾患を抱える率が明らかに高い。
(2)その度合いは、英国の研究では1.6倍、米国の研究では3.8倍になる。
(3)特に「不安障害」は米国の研究では4.9倍になる。「うつ病」と「自傷行為」は英国の研究ではともに1.7倍になる。

いったいなぜ、いじめの方が虐待よりも深い傷を残すのか。研究チームは「虐待と違って、学校でのいじめは身近な家族でも気づかないことがあり、気づいた頃には被害が深刻になっているケースが多いからです。子どもが発するSOSを、早く、しっかり受け止めることが大切です」とコメントしている。