11月の湘南戦で戦列なゴールを決め、復活ののろしを上げた。今大会ではチームを五輪出場に導くゴールが望まれる。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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「ゴールを決めた夢を見たんですよ。相手は北朝鮮だったと思います。見たのは12月くらいかな」
 
 リオ五輪最終予選のグループリーグ初戦、北朝鮮戦を前にそう語るのはチームを最前線で牽引する鈴木武蔵だ。
 
 鈴木の昨季を振り返ると、怪我の影響で思うようなパフォーマンスを見せられなかった。8月には出場機会を求めて新潟から水戸へレンタル移籍するも結果は6試合・2得点。しかし、負傷が癒え、迎えた昨年11月の神奈川合宿での湘南戦、復活の狼煙を上げる豪快な一発を決めた。
 
 それは「(怪我の影響があって)5分という限定的な使い方」(手倉森)のなかで、存在価値を示そうと奪った意地の一発だった。
 
 この1点を境に鈴木のコンディションは右肩上がりに好転していく。「(12月末の沖縄・石垣島合宿では)身体を追い込んで、その後、回復させてコンディションはすごく良くなった」と自信を深める。
 
 最終予選の地・カタールに入ってからの軽快な動きを見ていても、その好調さが伝わってくる。
 
 また、手倉森監督が4-2-3-1から4-4-2へ基本システムを変えた点も鈴木の追い風となった。以前は1トップとしてポストプレーなど身体を張るプレーが求められたが、2トップになったことで、もうひとりのFWが中盤に落ちた際に裏でボールを受けるなど本来のスピードを活かせる展開が増えたのだ。
 
 鈴木も「自分の良さを活かせる。テグ(手倉森)さんは、よく裏へのアクションのことを言っていて、パスの出し手も(動きを)見てくれるようになった。持ち味を活かしやすい状況。どんどん特長を出していきたい」と意気込む。
 
 最終予選でコンビを組む可能性が高い久保とのコンビネーションも進化中だ。同部屋で過ごし、「サッカーの話など、グラウンドや部屋などでいろいろ会話している」という。
 
 最終予選を勝ち抜くには苦しい場面でゴールを決めてくれるエースの存在が不可欠。最近では久保、南野の海外組に注目がいきがちだが、鈴木にもこのチームを立ち上げ期から引っ張ってきたプライドがあるはずだ。
 
 北朝鮮戦での“正夢ゴール”を実現させれば、一気に勢いに乗ることができるだろう。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)