武豊

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 2015年の競馬界は、2人の外人騎手がJRA日本中央競馬会所属騎手となったことで激変。その2名、ミルコ・デムーロとクリストフ・ルメールは2人で年間230勝したわけだが、逆にいえば彼らが来なければその230勝が日本人騎手に割り振られた可能性もあるわけで、その影響は甚大といえるだろう。

 14年に続いて年間リーディングを獲得した戸崎圭太騎手は130勝を記録したが、2014年は146勝だったことを考えれば10%以上も勝利が減った計算になる。

 14年2位で136勝だった岩田康誠騎手は、15年101勝と35勝も減少。3位の浜中俊騎手も125勝から98勝と27勝も減らしている。さらに甚大なのが中堅騎手で、14年117勝の北村宏司騎手は15年76勝と41勝も減少、タレントほしのあきの旦那である三浦皇成騎手も73勝→64勝、和田竜二騎手も68→48勝と大幅に成績をダウンさせている。

 しかし、これだけ成績が下がっても、このあたりの騎手なら収入は“ウハウハ”だ。

 年間リーディングを獲得した戸崎圭太騎手はレース総賞金27億2,435万2,000円を獲得。騎手の取り分は5%なので1億3,621万7,600円が賞金からの収入になる。さらに、騎手はレースに騎乗すれば2万6,000円から最大6万3,000円(障害騎手なら最大14万4,200円)の騎乗手当があり、さらに騎乗するごとに1万5,500円の騎手奨励手当が交付される。

 各種手当とレース賞金と合わせれば、報酬総額はJRAだけで1億7,898万円を超えており、地方や海外成績を加えれば約2億円、れっきとした一流スポーツ選手なのである。なお、15年の全JRA所属騎手をザッと見ると13名ほどがこの1億円プレイヤーという状況だ。

 また1億円に届かなくても、15年にデビュー2年目で年間60勝、総合17位の好成績をおさめた松若風馬騎手は、まだ21歳ながら推定収入約4,000万円。しかしデビュー1年目ですら3,000万円以上の報酬を得ており、これはプロ野球選手やJリーガーも目が飛び出る金額。馬券はファンに夢を与えるが、騎手の報酬はそれ以上に魅力的といえるだろう。

 しかし、競馬は完全な優勝劣敗の世界。勝ち組もいれば負け組もいるのが世の常。戸崎圭太騎手や松若風馬騎手のように成功をおさめた騎手もいれば、年間で1勝もできないような騎手も少なくない。

 例を挙げれば、障害騎手としてキャリア14年の鈴木慶太騎手はこれまで14年間でわずか8勝、15年は年間10回の騎乗にとどまり、10年を最後に勝利がない。障害競走1Rあたりの騎乗手当8万4,200円+騎手奨励手当1万5500円で10回の騎乗だから合計99万7,000円の報酬となる。これに調教手当を加えても100万円ちょっとといえる金額であり、一般的なフリーターと何ら変わりない。

 もちろん、こういった騎手は騎手だけの収入では食っていけないので、厩舎に所属して厩舎の仕事で給料をもらったりしているわけだが、トップクラスとはまさに雲泥の差といえるだろう。

 全盛期の武豊騎手は年間3億円を超える収入があったといわれているが、人気ジョッキーともなればテレビやイベント出演、CM、グッズ販売など副収入も多彩だ。しかし苦労して騎手になりながらも表舞台で輝くことなく消えていく騎手も多いのが現実。勝負の世界は残酷なのである。