キャンペーンで貼られた「やめましょう、歩きスマホ。」ポスター

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 メールをしたり、話したりしながら歩くのは、とても危険な習慣だ。特にスマートフォンや携帯電話の操作を行いながらの「歩きスマホ」は、夢中になるあまり注意力が低下し、ケガやトラブル、事故を招く。
 
 当サイトでも、その危険性については警鐘を鳴らしてきた。「『ボイスコマンド』でも注意力は低下! 運転中のスマホ操作が事故を招くことに」「視覚と聴覚の情報統合をさえぎる『歩きスマホ』の危険性」

 また、周辺の人や物体を察知する能力が鈍くなるため、ひったくりやわいせつ行為の被害も相次いでいる。人が混み合う駅のホームでの転落事故、客同士の衝突によるケガやトラブルが頻発。社会問題となって久しい。そこで、JR東日本と携帯大手3社は昨年11月、「歩きスマホ」の減少を目指す大掛かりなキャンペーンを首都圏で展開した。

 一方、歩きスマホ専用レーンを設けるなど、その行為を容認している中国。だが最近、「歩きスマホ」の女性が、誤って川に転落して溺死する事故が起きた。その転落の様子は防犯カメラに記録されていた。遺族の話では、女性は普段も食事の際から寝る直前まで携帯電話を手放さなかったという。

米ニュージャージー州は「歩きスマホ」違反者に罰金

 一般社団法人 電気通信事業者協会が昨年、調査報告*した内容によると、スマホ所有者の約8割が歩きスマホの経験があり、うち10〜30代の半数以上が、「日常的に」「時々」やっている。また、歩きスマホが原因で「人にぶつかりそうになったことがある」人は33.7%、実際に「ぶつかったことがある」人は4.5%いた。
 *「『歩きスマホ』に関する調査」: 2014年12月11〜14日、東京23区・名古屋市・大阪市・福岡市・札幌市在住のスマホ保有者(15〜69歳の男女)を対象に実施。

 世界的に「歩きスマホ」は取り締まりの方向に傾いている。米ニュージャージー州フォートリーでは2012年に「歩きスマホ規制条例」が成立、違反者に85ドルの罰金が科されるようになった。

他人の「ながら歩き」気になるが、自分は自覚なし?

 現代人は忙しさのためか、スマホにかぎらず「ながら歩き」の常習者は増えている。米国整形外科学会(AAOS)が最近行った全米調査では、「ながら歩き」でケガのリスクにさらされる米国人が増加しているという。

 調査の数千人の対象者の約40%は、「ながら歩き」をしている人が危険(incident)にさらされたのをみたことがあり、26%は自分自身が「ながら歩き」中に危険を感じたことがあると答えた。

 なかでも、55歳以上の女性は深刻なケガをする可能性が最も高く、18〜34歳の女性は危険を感じる可能性は高かったものの、ケガをする可能性は低かった。若年成人は歩きながら携帯メールをしたり、音楽を聞いたり、通話をしたりする可能性が高かった。

 78%の人は「注意散漫な歩行は重大な問題だ」と述べ、74%は「他人は日常的に『ながら歩き』をしている」と答えた。一方、「自分自身が『ながら歩き』をしている」と答えたのは29%のみだった。

半数は「特に理由はない」

 また、歩きながら他のことをする理由について、48%は「特に理由はない」と答え、28%は「歩行と他のことを同時に処理しても問題は生じない」と考えており、22%は「忙しいので時間を生産的に利用したい」と答えていた。

 同学会のスポークスマンを務めるAlan Hilibrand氏は、「『デジタル・デッドウォーカー(digital deadwalker)』の危険性は増大しており、階段から落ちたり、縁石でつまずいたりする歩行者が増え、擦り傷や打撲、骨折などの事故が増加している」とコメント。AAOSでは、周囲に注意を払って歩行し、ケガの予防に努めることを勧めている。
(文=編集部)