御伽ねこむ 日本一可愛いコスプレイヤーの本音 #いろいろ語ってみたけど可能性は感じないでほしい
“日本一可愛いコスプレイヤー”として知られる御伽ねこむ。二次元から飛び出してきたようなキュートな顔立ちとグラマラスなスタイルの持ち主で、研究し尽くされているがゆえの完成度の高さから多くのファンを虜にしている。そんな彼女が自身初のフォトブックを発売。10代の頃の貴重な写真も収録されているという本作の見どころとは? 自称“キモオタ”だった学生時代、影響を受けたマンガやアニメなど、カリスマコスプレイヤーのルーツに迫った。

撮影/藤沢大祐 取材・文/渡邉千智(スタジオ・ハードデラックス)

“不純な動機”で始めたコスプレ



――小さい頃から、コスプレをやりたいと思っていたんですか?

「このキャラになりたい!」っていう憧れから、無意識のうちにコスプレはやっていたんですよね。いまから思うと。

――無意識に?

小さい子用に売っている『おジャ魔女どれみ』のおもちゃのステッキやホウキ、衣装のフルセットとか。そういうのを全部持っていたので、よく着て遊んでいました。もしかしたらそれが初コスなんじゃないかな(笑)。

――確かに(笑)。ねこむさんがコスプレを始めたのは、コスプレイヤーのえなこさんに出会ったことがキッカケなんですよね。

はい。友だちに誘われて行ったストリートフェスタで、『魔法少女リリカルなのは』のフェイトちゃんのコスプレをしていたえなこさんの姿に、カルチャーショックというくらい衝撃を受けたんです。もうオーラが違った…。

――それで、自分もコスプレをやってみたいと思ったんですね。

「えなこさんに近付きたい!」っていう不純な動機からなんですけどね(笑)。えなこさんに会うために高校2年生のとき、大阪からひとりで上京して、コミケに初参戦したんです。

――おお! あの広い会場で…すぐに会えましたか?

コスプレ衣装に着替えて「よっしゃ探すぞ!」と意気込んでいたら、ありがたいことに多くのカメコ(編集部注※カメラ小僧)さんに撮影していただけて、1日目はそれだけで終わってしまったんです。2日目はえなこさんが来ていなかったこともあって会えず、3日目にようやくお会いできました。

――憧れの人に会ったときは、どんな感じでした?

「ファンです……全部ください……」って写真集を全部買いました(笑)。私は「やっと会えた!」という気持ちだったのですが、えなこさんは当然私のことを知らないので「えっ、何!? 泣いてるんだけど!?」ってビックリしたと思います(笑)。

――(笑)。ねこむさんは写真を撮られることに、最初から抵抗はなかったですか?

なかったですね。親がカメラ屋の店長をしていたこともあって、小さい頃から写真を撮られ慣れていたからかもしれない…アルバムとかも分厚いヤツが20冊くらいあるんですよ。

――ポージングや表情の付け方が上手なのは、小さい頃から撮られているがゆえ…?

私はマンガやアニメがコスプレの教科書だと思っているので、それらを見て研究してきました。原作にいかに近づけられるかが重要だと思っています。

――なるほど。ほかにコスプレにおいて重要だと思うことは?

やっぱり楽しむことですね。他の方と比べて「自分のコスプレはダメだ」って落ち込んでしまう人も多いと思うんですけど、そういうのはあまり気にせず楽しむことが大事かなって。



今やりたいコスプレは『アイドル伝説えり子』



――衣装などをご自身で作ることもあるのでしょうか?

昔はけっこう作っていました。『東方紅魔郷』のチルノの衣装は羽根まで作ったんです。

――特に思い出深いコスプレ衣装はありますか?

やっぱり『東方Project』の博麗霊夢(はくれいれいむ)ですね。初めて自分で衣装のアレンジデザインを考えて、業者さんとやりとりをして衣装を作ったので。衣装代を稼ぐために、お弁当屋さんで一生懸命バイトしたのもいい思い出です(笑)。

――ねこむさんが次にやりたいコスプレは?

次の夏コミでやりたいと思っているのは、『アイドル伝説えり子』のえり子。…ご存知ですか?(笑)

――…すみません、わかりません(涙)。

1989年に放送されたアニメで、アイドル歌手としてデビューした主人公・えり子のサクセスストーリーです。少女漫画チックで可愛らしい絵なんですが、主人公に次々と不幸が襲いかかり、泥沼化していくんですよ。

――絵柄とストーリーとのギャップがスゴいんですね…。

1話目から修羅場で、お父さんが交通事故で亡くなり、お母さんは意識不明の重体になってしまうんです。えり子は父の財産を狙う叔父から厳しい仕打ちを受けながら、困難を乗り越えていくという…。

――お、重い…(苦笑)。
 
テレビ番組で紹介されていたのをキッカケに知ったんですけど、実際に見てみたらものすごく面白くて、Blu-rayボックスも買っちゃいました。えり子の頑張っている姿が泣けるんですよね。

――そのえり子のコスプレをしようと。

私と同世代の方はピンとこないかもしれないんですけど、40代、50代の方は「えり子だ!伝説だ!」って拍手してくれると思います(笑)。



“キモオタ”だった(!?)学生時代



――中高生の頃はどんな子でしたか?

もともとインドアなこともあって、コスプレを始める前は化粧もしないし、オシャレもまったくわからない子でした。

――ええっ!? ホントですか?

アニメとかゲームが好きなキモオタでした(笑)。中学のときは友だちもあまりいなくて、唯一いたオタク友だちと当時ハマっていた『デュラララ!!』についてよく語っていましたね。高校は美術系のところに進んだので、オタクの子が多く、イキイキとオタク活動に励んでいました(笑)。

――コスプレに目覚めてから、外見とかに気を使うようになった?

そうです。化粧にハマり、カラコンとかもつけるようになって、先生から「お前誰やねん」ってつっこまれたこともありました(笑)。

――こんなに可愛いのに…芸能界には興味とかなかったんですか?

実は、芸能人になりたいって気持ちはありました。具体的に何をやりたいということは考えていなくて、今から思えば目立ちたいだけだったんですけど(笑)。それでいろいろオーディションを受けたんですが、全然ダメで…。ホリプロのスカウトキャラバン(※新人発掘を目的としたオーディション)も受けたことがあるんですよ。

――えっ、そうだったんですか!

中3のときに、これが最後のチャンスだと思って受けたんですが、落ちてしまったんです。それで吹っ切れたというか、絵の道に進もうと決心しました。ただ、コスプレは続けていたので…

――ホリプロさんに声をかけられ事務所に所属になる、と。ご縁があったんですね。

本当にビックリでした。ドッキリなんじゃないか!?と思ったくらい(笑)。マンガとコスプレが大好きでよかったなと思いました。