ニッスイの「EPA入り食品」を説明する機能性食品推進課長・馬場みのりさん

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EPA(エイコサペンタエン酸)は「n-3系脂肪酸」のひとつで、魚油に多く含まれる。消費者庁が発表した「食品の機能性評価モデル事業」では、「心血管疾患リスク低減」と「血中中性脂肪低下作用」で、DHA(ドコサヘキサエン酸)とともに「機能性について明確で十分な根拠がある」と最も高く評価されている。

日本水産(ニッスイ)は、創業当時から水産資源の持続的な活用を掲げ、100年近くに渡ってEPAの研究を続けてきた。サプリメントや飲料、菓子にEPAを取り入れ、その実績を基に食品ラインアップを拡大している。

酸化しやすいEPAを食品に取り入れる知見と技術

EPAはマイワシやマグロ、サバといった魚に多く含まれる。ヒトは体内で合成できないため、魚を食べるなどして摂取しなければならない。その働きは、動脈硬化を抑制し、赤血球を柔らかくして血液の流れをスムーズにするもの。いわゆる「血液サラサラ」効果で血管年齢を若く保ち、血中中性脂肪の低減、抗炎症作用、抗アレルギー作用が期待できるという。

魚油に含まれる健康成分としては、DHAの方が知名度は高いかもしれない。だがEPAは1960年代には、イヌイットの心臓病による死亡率が低い点が注目されて疫学調査が実施された。その後医薬品に用いられたこともあり、エビデンス(科学的根拠)は多い。ニッスイでは1988年、最初のEPAサプリメントを発売した。

2004年には、飲料タイプの特定保健用食品(トクホ)を開発した。ただしEPAは酸化しやすく、時間がたつときついにおいを放つようになるため、購入後は冷蔵庫で保存しなければならなかった。改良を重ねて2012年には、常温で保管できる飲料製品を完成させた。トクホとして、容器には「中性脂肪が気になる方に」と明確に書かれている。主な購買層は50〜60代の男性だった。

一般の食品にもEPAを取り入れた。2011年発売の「エパプラス(EPA+)」は豆乳クッキーで、女性が朝食に、あるいは小腹がすいたときに食べてもらうのがねらいだ。

「開発の際に、味にはこだわりました」と話すのは、機能性食品推進課長の馬場みのりさん。チーズ味やカフェラテ味、メープル&バター味と種類が豊富だが、味によって魚油由来のEPAとの「相性」が変わるのだという。口に入れた際に、ともすればパサパサした食感が残ってしまう恐れもある。時間が経過すればEPAの酸化が進むので、包装にも工夫が必要だ。こうした課題に対し、長年EPAを取り扱ってきた知見や技術を基に、味の違いによって使用素材の配合を調節するなどしておいしさを徹底的に追求した。

バラエティーに富むメニューで1日の必要分を摂取

さらにスポーツ系サプリも開発した。EPAには赤血球を柔らかくする性質があり、赤血球と一緒に運ばれる酸素が体中にくまなく行き渡るようになるので、持久力アップが期待できる点に着目した。

「EPAには多面的な効果がある」と馬場さん。サプリだけでなく一般食品にも展開を始めたのにあわせ、ニッスイが販売する各種食品を食べることで1日に必要な量のEPAを摂取できるようにと、さまざまな食品を横断する「エパライフ(EPAlife)」というブランドを立ち上げた。「白身魚と豆腐のハンバーグ」や「ひじきの煮つけ」といった冷凍食品のほか、イワシの缶詰やちくわ、カニ風味のかまぼこ、魚肉ソーセージといった食品がブランドに含まれる。商品パッケージには、EPAの分量がひと目で分かるようにブランドロゴで表現されている。

1日に必要とされる900ミリグラムのEPAを摂取するのに、3食すべて魚料理ではさすがに飽きてしまうだろう。ニッスイでは、EPAlifeの食品のほか前述の豆乳クッキー「EPA+」などバラエティーに富むメニューを1日の食事の中に織り交ぜながら、効率よく、またおいしく体に取り入れられるようにと提案している。