▽新聞社だろうが専門誌だろうが、サッカー担当記者に年末年始はない。それが宿命だ。去年の暮れのこと、現場では、かつて勤めていたサッカーダイジェストのベテラン記者と久しぶりに再会した。高校選手権の1〜2回戦は首都圏8会場で行われるため、記者・カメラマンとも総動員となるからだ。

▽そこで高校選手権の展望号を出したダイジェストの記者に確認したところ、いまでも参加48校にアンケートをとっているという。おそらく今はメールなどを活用しているのだろうが、昔と変わらないスタイルに当時の苦労が蘇った。

▽もともとはサッカーマガジン、ダイジェスト、ストライカーの専門3誌が12月になると出場校にアンケートを送っていた。ところが、ある年、新潟工業の澤村先生(2年前に逝去)から電話があり、「専門3誌に同じアンケートを3通書くのは3度手間なので一本化して欲しい」とのご提案をいただいた。

▽そこでマガジンの千野編集長、ストライカーの中村編集長(いずれも故人)と相談し、専門3誌でアンケートの統一フォーマットを作り、各社が持ち回りで幹事を務め、届いたアンケート用紙をコピーして配布したのだった。

▽静岡や埼玉、広島や長崎といった優勝候補の県決勝は各社ともカメラマンを派遣するものの、全都道府県をカバーできるわけではない。そこでアンケートと一緒にモノクロのネガフィルムを同封して集合写真の撮影もお願いしたのだが、現像してみると真っ暗だったり、ピントが合っていなかったりする写真が毎年必ずある。

▽そうなると、改めて監督に電話をして撮影の再依頼だ。また、催促しないとアンケートを返送してくれない学校も数校あり、たいがいが優勝候補と言われる強豪校(S学園とか)だった。当時の専門3誌は年末の付録として高校選手権のガイドをつけていたので、締め切りとの格闘になるので冷や汗ものだ。

▽またアンケートそのものも監督自身が記入してくれれば選手の特徴が分かりやすいのだが、女子マネージャーが丸文字の可愛い字で記入してくれたアンケートは、プレーにはいっさい触れず、性格やクラスの人気者だとか日常生活を綴ってくることも少なからずあった。読んでいて微笑ましいのだが、これでは誌面に反映できない。そこで改めて監督に電話取材してアンケート用紙を完成させなければならなかった。

▽時は移り、マガジンとストライカーは刊行スタイルを変え、ダイジェストも隔週刊となった。マガジンとストライカーは昔ほど速報性を求めないため、ここ数年はダイジェストが幹事を務めてアンケートの取りまとめをしているという。

▽これはここだけの話だが、展望ガイドには別冊でも増刊でも大手広告代理店経由で高校選手権の協賛4社(現在は5社)から広告が入り、それなりの広告料収入がある。ただしそれには条件があり、展望ガイドと1月上旬に発行する選手権をカバーした増刊号とのセットとなっている。大会が盛り上がらなかったとか、優勝校が地味だから増刊号は出さないというわけにはいかないのだ(部数は調整できる)。

▽このため、展望ガイドが出れば増刊号も必ず出る。紙媒体の衰退がささやかれる中、ダイジェストにはせめて高校選手権の灯りは消さないよう頑張って欲しいと願わずにはいられない。