株式投資などで資産1億円以上を築いた投資家たちを“億り人(おくりびと)”という。彼らの成功の秘訣は、株式市場の先を独自の視点で見通し、勝てる銘柄を選別することにある。昨年の乱高下相場を乗り越え、順調に資産を殖やし続ける億り人に、2016年の投資戦略を聞いた。

「2016年は上がる銘柄と上がらない銘柄との明暗がはっきり分かれる年になる」

 そう予測するのは、資産2.5億円を運用する億り人、かぶ1000氏だ。会社の時価総額より現金や土地などの資産が大きい企業を抽出する投資法で着実に資産を殖やして現在に至る。そんな氏が予測する「今年上がる株」は何か。

「昨年11月に日新製糖が配当金を60円から155円に増配すると発表したところ、2800円台だった株価が短期間で5000円超まで急騰しました。一度、増配したら二度と減配できないのが市場の暗黙のルール。つまり増配できた企業は、多くの資産を保有していることになる。“増配”をキーワードにして探すのが私の基本的な考え方です」(かぶ1000氏・以下「」内同)

 その観点から注目しているのが、今村証券(ジャスダック・7175)だ。石川県金沢市に本社を構える地場証券が上がる根拠とは何か。

「証券セクターの配当利回りは3%以上など、全体的に高い。にもかかわらず、今村証券は0.5%と低水準です。しかし同社は70年以上続く老舗地場証券で、資産はそれなりにある。配当が低いのは2014年に上場したばかりで、まだ株主目線に立てていないのが理由の一つ。日本の金融機関は“横並び”を良しとしているので、他社と同様の水準まで上げてくる可能性があると見ています」

 また昨年まで下落傾向にあっても注目する銘柄があるという。

「建設会社、巴コーポレーション(東証1部・1921)は高値から6割ほどまで落ちてきましたが、同社は東京の湾岸エリアに多くの土地を所有している。東京五輪で再開発され地価も急騰している地域であり、結果的に株価の下落によって時価総額に比べて資産の割合が高くなった。やがて株価は見直されるでしょう。

 同様に住宅用LED照明器具のオーデリック(ジャスダック・6889)も今が仕込み時。20年には蛍光灯と白熱灯の生産が終了し、LEDへの買い替えがさらに進む。この会社は業績も好調なのに、PER(株価収益率)は8倍程度と割安。配当性向も高めていて増配の可能性もあります」

 現在の株価より企業の資産価値を見る。投資の“原点”に忠実だからこそ、現在の成功があるのだろう。

【プロフィール】かぶせん/愛知県在住・40代。専業投資家。会社の資産面から見て割安に放置されている「資産バリュー株」や、「高配当株」への投資を得意とする。年率20%の運用利回り維持を目指す。Twitter:@kabu1000

※週刊ポスト2016年1月15・22日号