「テレ東」に抜かれた「フジテレビ」。 視聴率低迷の打開策は?

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フジテレビ視聴率下落が止まらない。

2004年から7年連続で視聴率「三冠王」(ゴールデンタイム・プライムタイム・全日)をとっていた時代はどこへやら。昨年11月末にはキー局で「万年最下位」といわれていたテレビ東京にもゴールデンタイムの週間視聴率で抜かれた。

これだけ視聴者からの支持を失った原因はどこにあるのか? フジテレビの亀山千広社長は「低迷のきっかけは3・11」として、震災以来、世間にフジテレビの浮世離れしたお祭り感が受け入れられなくなったと低迷の原因を分析したが、ネットでは「震災以前からフジテレビのバブル的なノリは時代遅れだった」との指摘も多く聞かれた。

『週刊プレイボーイ』本誌で対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」を連載中の“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏もこのニュースに反応。特に、かつてフジテレビの買収を試みた堀江氏は「フジテレビがダメになった理由って、割と簡単じゃない?」として、低迷の理由を分析する。

「例えばさ、フジテレビって是が非でも俺を番組に出演させようとしないじゃん。そういった“ヘンな頑固さ”が低迷の一因になってるんじゃないかな。番組の他にも、例えば夏に『ウルトラジャパン』っていう音楽フェスがお台場であったんだけど、そのフードブースのプロデュースを俺がすることになってたんだよ。でも、フジテレビの横やりがあったみたいでポシャった。

あと、フジサンケイグループからも締め出されてる。ちょっと前に『夕刊フジ』からインタビューのオファーがあったから快諾したんだけど、直前にドタキャンされた。それに、あれだけ誌面に登場して連載もやってた『週刊SPA!』にもずっと出てないね。ここまで意固地になるのは逆にすごいよ」

さらに堀江氏は、フジテレビ局内の体制にも原因があると指摘する。

「低迷から抜け出せないもうひとつの原因は日枝久会長の存在だと思う。いわゆる“院政”だよね。彼に抵抗できる社員はフジテレビ内に誰もいないんじゃないかな。まあ普通に考えて、業界最高レベルの年収と退職金を捨てる覚悟のあるサラリーマンはいないよ。

んで、そんなサラリーマンが視聴率を回復させるような思い切った施策を打てるはずがないんだよね。それに、そういう経営陣を退陣させられない株主たちにも問題はある。まあ、そんな株主しか残らないように放送法を改正させたんだろうけど。

どう考えてもフジテレビの経営戦略は間違ってるよ。ってことを10年前からずっと言ってるんだけど一向に変わんないね」

一方、ひろゆき氏はフジ低迷の原因として、「8チャンネル」原因説を披露する。

視聴率の話題でいうと、『低迷したのはTV欄の配置のせい』っていう説もありますよね。地デジ移行時に8チャンネルにこだわったせいで、ラテ欄の真ん中から隅っこに移動してしまった。その後、フジテレビは低迷して、代わりにラテ欄の中心にきたテレビ東京の視聴率が良くなった」

この指摘に堀江氏もうなづき、「TV欄以外にも、リモコンのボタン上でも8チャンネルは不利だよね」とした上で、「だから、本来は3チャンネルを取るべきだったんだよ。なんであんなに『8』にこだわったんだろう?」と疑問を呈する。

実は、こうした合理的な判断ができなくなっていることがフジ低迷の本当の原因か…。ひろゆき氏も続ける。

「不利な8チャンネルにこだわったみたいに、合理的じゃない判断をする組織は間違いを正すことも難しくなっていくんですよね。『すべての判断は合理的であるべき』っていう前提が崩れちゃうと、間違った判断をしていても追及できなくなりますから。この状態が続くと、内部の人は『どうせ何を言っても聞かないから、ほっとけばいい』みたいな無力感に苛(さいな)まれていくわけです。

ほとんどの場合、上司の決定を批判することは上司を否定することになるので、間違いを指摘した人は上司から嫌われたり、妬(ねた)まれたりする。誰もやりたがりませんよね。間違った判断を訂正するのってものすごいエネルギーがいりますし、そんなエネルギーを持っている人はフジテレビ内にほとんどいないんでしょうね」

では、フジテレビを買収しようとした堀江氏は、どうすればフジは立て直せると見ているのか?

「まずは経営者を替えることじゃない? リーダーが代わるだけで組織は見違えるように変わるから。でも、たとえ亀山さんが辞めても院政は続くだろうし、その後任はまたフジテレビの人間になるわけでしょ。そうやって生え抜きとかにこだわると絶対いいことはないと思うよ」

経営者を外部からヘッドハンティングしてくる、くらいの思い切った決断ができなければ、より一層の低迷は避けられないということか。

「なんというか、やってることがダメな日本企業の典型だから、そりゃあ低迷するわって思うよ。うまくやればビジネスを拡大できるチャンスがあるだけに、本当にもったいないよね」(堀江氏)

不調の原因に「震災」を挙げる、「自分たちは悪くない」と言ってしまう体制が改められない限り、復活への道は遠そうだ。

●この全文は『週刊プレイボーイ』1・2合併号(12月21日発売)でお読みいただけます!

(イラスト/西アズナブル)