原因は遺伝子だが抗炎症薬で治療可能

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寒くなると発症する慢性疼痛(まんせいとうつう)の原因は、ある特定の遺伝子の変異であることを突き止めたと、独フリードリヒ・シラー大学イェーナ、ケルン大学、アーヘン工科大学附属病院、米カリフォルニア州スタンフォード大学の共同研究チームが発表した。

慢性疼痛は、外傷や神経障害がきっかけで長期間(3〜6か月以上)、体に痛みやかゆみを感じる症状。腫れや発疹といった外見的変化がないことが多く、原因が不明な場合もある。

研究チームは、生後1か月以内に発症し、気温が下がると痛みやかゆみを訴える6歳の少女を対象に、少女の父親、叔母、叔母の娘、父方の祖母の3世代の家族を調査。各家系に関わるすべての人の塩基配列解読(遺伝情報の解析)をおこなった。

その結果、叔母の家系から感覚ニューロンを異常に興奮させる「p.V1184A」という遺伝変異が確認され、少女にも同様の変異があることがわかったという。

p.V1184Aを人為的に起こしたマウスの実験でも、慢性疼痛の発症が確認している。

通常は気温が下がると感覚ニューロンの活動も低下し、寒さによる刺激を受けにくくなる。しかし、この遺伝変異があると、寒冷下でもニューロンが活発に反応し、痛みやかゆみに対する感受性が高まってしまい、慢性疼痛を発症してしまう。

さらに、同家系での慢性疼痛の治療法や治療結果を検証したところ、幼児期から慢性疼痛を発症している場合、早い段階で抗炎症薬を治療に用いることで、年齢と共に痛みやかゆみが減少し、大人になるとほとんど感じなくなる例も確認された。

研究者らは「抗炎症薬による治療が、早期発症の寒冷性疼痛には有効である」としている。

発表は英科学雑誌「ネイチャー」が運営するオープンアクセスの学術誌「NATURE COMMUNICATIONS」に、2015年12月8日掲載された。

参考論文
Cold-aggravated pain in humans caused by a hyperactive NaV1.9 channel mutant.
DOI: 10.1038/ncomms10049 PMID: 26645915

(Aging Style)