国交省、2016年より「 自動ブレーキ 」の格付けへ 今後の課題とは?

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国交省は、2016年度から、「自動ブレーキ」を搭載している市販の自動車を審査・格付けする制度をスタートします。「先進緊急ブレーキシステム(AEBS)」とも呼ばれるこの自動ブレーキ装置は、衝突の危険が高まると警報ブザーや画面表示で知らせ、自動的にブレーキがかかります。こうしたシステムは、現在では高級車から軽自動車まで、さまざまな新型車に搭載されていますが、障害物や人を検知するセンサーの種類などにより、精度や特性にはさまざまな違いがあります。そのため、車種によっては、電柱や街路樹を誤検知してしまったり、人を検知するのが難しいという場合もあり、自動ブレーキを搭載していても、対人事故の防止効果は100%ではありません。国交省では、こうした自動ブレーキの審査結果を公表することで、消費者の車選びの参考にしてもらい、メーカーへ機能向上や装置の普及を促すとともに、歩行者が巻き込まれる自動車事故を減らしたい考えとのことです。

増加する高齢ドライバーの事故


自動車による対人事故の防止対策が必要とされている背景には、高齢者ドライバーによる交通事故が増加している問題があります。アクセル・ブレーキの踏み間違いによる暴走や高速道路の逆走など、高齢者の運転による交通事故はニュースでもよく取り上げられていますが、警視庁の資料によると、65歳以上の高齢ドライバーが関与する交通事故の割合は年々高くなっており、平成26年では20.4%と10年前の約1.9倍にもなっているそうです。これには、高齢ドライバーの割合が増加していることも関係しているといえるでしょう。

認知・判断能力や記憶力、集中力の低下が原因とも


また、上記の資料によると、高齢ドライバーが関与した交通事故における違反行為では「安全不確認」がもっとも多く(30.9%)、人的要因では人や車、障害物などの「発見の遅れ」(69.5%)、次いで「判断の誤り等」(8.8%)が多い結果となっています。高齢者による交通事故の原因は認知・判断能力や記憶力、集中力などの低下がおもな原因といわれており、2015年6月に成立した改正道路交通法では、75歳以上のドライバーを対象とした認知機能検査を強化するなどの対策が盛り込まれました。

また、警視庁では、運転が不安な高齢者には免許の自主返納を呼びかけていますが、電車・バスなどの公共交通機関の少ない地域では、買い物や通院などに車の運転が欠かせないケースも多く、本人や家族が不安を感じていても「運転せざるを得ない」という状況もあります。

社会の高齢化や核家族化にともない、このように「運転を続ける必要のある」高齢ドライバーは今後も増加することが予想されます。こうした高齢ドライバーに対して、すぐれた対人検知機能を持つ自動ブレーキシステムの存在は、交通事故を防ぐ上で心強いものといえるでしょう。

一方、年金生活者も多い高齢ドライバーが、自動ブレーキの搭載された新型車に買い換えることは、金銭面で大きな負担となるケースも予想されます。高精度の自動ブレーキを普及させて、対人事故を減少させるためには、高齢ドライバーが装置の搭載された車に買い換える際の補助金や、自動車税の軽減といったサポートも必要なのかもしれません。

<参考>
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotu/kourei/koureijiko.htm
(防ごう!高齢者の交通事故! 警視庁)
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20140401/1056319/?rt=nocnt
(「自動ブレーキ機能」は各社でこんなに違う! 日経トレンディネット)