『スター・ウォーズ』ボバ・フェットの旧声優ウィングリーン氏が死去、95歳。セリフは4つ

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米国の俳優 Jason Wingreen氏が、昨年12月25日に95歳で亡くなっていたことが分かりました。ウィングリーン氏は1950年代から主にテレビドラマで活躍したほか、映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場する賞金稼ぎボバ・フェットのオリジナル声優としても名を残しています。(体を演じたのは英国人のジェレミー・ブロック)

ボバ・フェットといえばスター・ウォーズを代表するキャラクターのひとりですが、オリジナル三部作でのセリフはわずか4箇所のみ。しかしファンに強い印象を与え、時代を遡ったエピソードIIでは少年として再登場したり、父親ジャンゴ・フェットにまつわる大掛かりな後付け設定まで用意される人気になりました。

演じたセリフは、『帝国の逆襲』劇中でのわずか4つ。

He's no good to me dead.

Put Captain Solo in the cargo hold.

What if he doesn't survive? He's worth a lot to me.

As you wish.

最後のas you wishは、寡黙なバウンティハンターであるボバを象徴する言葉としてよく使われます。ダース・ベイダーの指示を受ける立場ではあるものの、皇帝とベイダー、ベイダーと兵士のようにへりくだった態度はとらず、帝国への忠誠心でも恐怖心でもなく、プロとして己の為に動くキャラクターでした。

人気の理由には歴戦の印が刻まれた鎧や素顔を隠すヘルメットのビジュアル、全身に武器を仕込みジェットパックで飛ぶガジェット野郎という点もありますが、寡黙な一匹狼キャラを引き立たせたわずかなセリフも貢献したことは間違いありません。

後にウィングリーン氏が語ったところによると、ボバ・フェットの声を当てるのは「挨拶や何かを除けば10分もかからないような仕事だった」。しかし後に Star Wars Magazine でのインタビューに応じたことがきっかけで、ファンレターやサインを求める声が止まない生活になったとのこと (Entertainment Weekly)。

(ボバ・フェットはCGによる追加で『新たなる希望』(エピソードIV)にも登場したものの、セリフはありません。またキャラクターとしての初登場は『帝国の逆襲』ではなく、スター・ウォーズ史上最大の黒歴史といわれる『スター・ウォーズ ホリデースペシャル』のアニメパートでしたが、この時は別の声優が演じています。)

ウィングリーン氏はもともとヨーダの声優としてオーディションを受けており、もし操演者のフランク・オズ本人が声をあてることにならなければ、変な倒置法で延々とヨーダを演じたのはウィングリーン氏だったかもしれません。(なお、「本業」のテレビ俳優としてはスタートレックにも出演しています)。

『帝国の逆襲』での声の出演ではクレジットがなかったうえに、2004年 DVD版の改変では新旧三部作に統一感を与えるため、エピソードIIでボバの「父」ジャンゴ・フェットを演じたテムエラ・モリソンの声に差し替えられています。このため、古い方のソースでないとウィングリーン版の声は聴けません (が、新旧を並べて聴けるファンサイトもあります)。

さて、現在公開中の『エピソードVII フォースの覚醒』は、ジョージ・ルーカスから『スター・ウォーズ』の版権を買い取ったディズニー製作の第一弾。ルーカスが新旧三部作のあいだを16年も空けたのに対して、ディズニーは今後「売れなくなるまで」毎年新作スター・ウォーズ映画を製作し続ける意向です。

『フォースの覚醒』に続くエピソードVIII (2017年)、さらにエピソード IX (2019年)からなる三部作のあいだの年はスピンオフ作品が挟まる予定となっており、今年2016年にはX-Wing乗りたちを描いた STAR WARS: Rogue Oneが公開予定。

このスピンオフ枠として、ボバ・フェットを主人公とした映画がエピソードIXの翌年に公開されるとのうわさもあります。ウィングリーン氏は95歳の長寿を全うされましたが、もしうわさが正しければ、2020年

のホバ・フェット映画は「オリジナル声優の生誕100年記念作品」になるかもしれません。

以下蛇足。「10分もかからない仕事」で世代を超える人気悪役に命を吹き込んだオリジナル声優に敬意を表して、キャラクターとしてのボバ・フェットの今後についても触れておきます。

人気キャラであること、本編ではチョイ役なので動かしやすいことも手伝って、外伝コミックや子供向け小説、ゲームなどでも登場は多数。そちらでは『ジェダイの帰還』でサルラックに落ちるシーンを実は辛くも脱出し、数十年に渡る活躍を続けたことになっています。

しかし『スター・ウォーズ』のディズニー移管後、そういったなんでもありの外伝 (Expanded Universe)作品はほぼすべてなかったことになり、架空の「Legends」扱いに仕分けされたため、数十年に渡る活躍も文字どおり「伝説」になってしまいました。

(『フォースの覚醒』をまだ観ていない方は微妙なネタバレあり)。一方、ディズニー移管後の2015年秋に出版された小説 The Aftermath (『ジェダイの帰還』から『フォースの覚醒』までを埋める小説三部作の一冊目)には、明言はされていないものの、おそらくボバ・フェットのものと思われるヘルメットが発見されるシーンがあります。

ディズニーは外伝のたぐいを一掃したのちに、新たな小説やコミックなどは原則としてすべてストーリーグループが監修し、お互いに整合性をとった正史扱いとする方針です。このため、The Aftermathでの描写も本編映画に準じる扱い。つまりエピソードVII〜IXに続く正史の世界でも、『ジェダイの帰還』でボバ・フェットが実は死んでいなかった、千年かけて消化もされず脱出していた可能性はまだあります。このことから、The Aftermath の出版後は『フォースの覚醒』にボバ・フェット出るんじゃね?とごく一部で期待がありました。結果は観た人ならご存知のとおり。

ディズニーは今後のスター・ウォーズをファン向け映画として、旧三部作のテイストで制作してゆく方針です。旧作キャラクター出しサービスが多かったことを考えると、もしかしたらエピソードVIII や IX で、本人あるいは同じ鎧を着けた誰かが、またボバ・フェット枠で再登場する希望もないではありません。格下悪役枠としては、次こそ活躍してほしいキャプテン・ファズマ(中身は美人)とかぶるような気もしますが、たとえば裏切り者FN-2187を追うため、隊を離れて身分を隠す装備としてマンダロリアン・アーマーに着替えるような展開でもそれはそれで楽しそうです。