写真提供:マイナビニュース

写真拡大

●1月〜3月: ファルコン9の着陸再挑戦、 欧露共同の火星探査機など
探査機「ニュー・ホライズンズ」の冥王星への接近、小惑星探査機「はやぶさ2」の地球スウィングバイの成功、金星探査機「あかつき」の金星到着、またロシアのロケットや衛星の相次ぐ事故、「ファルコン9」ロケットによる世界初のロケット着陸の成功、そして中国の新型ロケット「長征六号」と「長征十一号」の打ち上げ成功など、さまざまな話題にあふれた2015年が幕を閉じた。

そして2016年もまた、昨年に負けず劣らず、多くの興味深い宇宙開発の話題が待ち構えている。

今回は、今年予定されている数多くのロケットの打ち上げや探査機の活動の中から、特に注目したいものを紹介する。

なお、日時はすべて1月6日時点での予定に基づくものであり、今後延期される可能性もあるので、ご留意いただければと思う。また文末に、ロケットの打ち上げ予定を掲載しているWebサイトを紹介しているので、最新の情報はぜひそちらをご参照いただきたい。

○1月18日: 「ファルコン9」ロケット、海洋観測衛星「ジェイソン3」打ち上げ 着陸試験も

ジェイソン3は米国と欧州が開発した海洋観測衛星で、海面高度の変化や、地球温暖化による気候の変化などを観測することを目的としている。

そして何より、この打ち上げでは「ファルコン9」ロケットの第1段機体の着陸試験が実施される。ファルコン9は昨年12月にも着陸に成功しており、今回も着陸できれば2機連続での成功となる。

打ち上げ場所は前回とは異なり、太平洋に面したカリフォーニア州のヴァンデンバーグ空軍基地から行われる。ヴァンデンバーグにも着陸できる施設はあるものの、陸上に降りるのか、それとも海上に浮かべた船の上に降りるのかはまだ不明である。

○2月7日: 「ドラゴン」補給船運用8号機(SpX-8)打ち上げ、膨張式のISSモジュール「BEAM」を搭載

この打ち上げでもファルコン9が使われるため、着陸試験を実施するのかどうか、そして成功するのかどうかが注目されるが、同時に積荷である「ドラゴン」補給船運用8号機に搭載される、「BEAM」と名付けられた膨張式のモジュールにも要注目である。

BEAMはBigelow Expandable Activity Moduleの略で、ビゲロゥ・エアロスペース社という会社が開発した、空気で膨らませる形式の国際宇宙ステーション(ISS)モジュールである。打ち上げ時には折りたたんでおき、宇宙で空気を入れ、風船のように膨らませるタイプのモジュールであれば、ロケットの容積にとらわれず、広い空間をもつモジュールを打ち上げることが簡単になる。

ただ、金属製のモジュールとは違い、耐久性などの問題があるため、今回はまず実証試験という位置付けである。同社はいずれ、この技術を使い、宇宙ホテルを実現したいという展望をもっている。

○2月12日: H-IIAロケット、X線天文衛星「ASTRO-H」を打ち上げ

「ASTRO-H」は宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心に、国内外の大学や研究機関が開発したX線天文衛星で、昨年運用を終えた「すざく」の後継機として、日本が長年続けてきたX線天文学の研究を続ける。

またH-IIAロケットはこの打ち上げで30号機という大台に乗り、さらなる連続成功が期待される。

○3月2日: 1年間のISS滞在が終了、宇宙飛行士が帰還へ

昨年3月28日から、約1年間の国際宇宙ステーション(ISS)での滞在に挑んでいる国営ROSKOSMOS社(旧ロシア連邦宇宙庁)のミハイール・カルニエーンカ宇宙飛行士と、米航空宇宙局(NASA)のスコット・ケリィ宇宙飛行士の2人が、ミッションを終えて地球に帰還する。

通常、ISSの滞在は半年間ほどが基本で、1年間は史上最長となる。この間に得られたデータなどの知見は、将来人類が火星や小惑星、さらにその先の宇宙へ向けて長期の宇宙航行に挑む際に役立てられる。

3月14日〜25日: 欧露共同の火星探査機「エクソマーズ2016」打ち上げ欧州宇宙機関(ESA)とロシアが共同開発した火星探査機「エクソマーズ2016」が、この間にロシアのプラトーンMロケットで打ち上げられる。

エクソマーズ2016は火星を周回する「トレイス・ガス・オービター」と、火星地表への着陸技術を実証する「スキャパレッリ」の、2種類の探査機から構成されている。火星までは約7カ月の旅路で、今年10月に到着する予定となっている。

また2018年には、スキャパレッリの成果をもとに開発された、本格的な着陸機と探査車(ローヴァー)の打ち上げも予定されている。

●4月〜6月: 中ロの新ロケット、ファルコン・ヘヴィなどが打ち上げ
○4月25日ごろ: ロシアの新ロケット発射場「ヴァストーチュヌィ宇宙基地」から初のロケット打ち上げ

ロシアが極東のアムール州に建設中の「ヴァストーチュヌィ宇宙基地」の一部が完成し、初めてのロケットの打ち上げが実施される。

ロシアは現在、静止衛星や有人宇宙船の打ち上げはバイカヌール宇宙基地から行っているが、同基地はカザフスタン共和国にあるため、ロシアは年間100億円を超える賃貸料を支払い続けている。ヴァストーチュヌィ宇宙基地が完成すれば、ロシアはロケット打ち上げにおける自律性を確保することができる。

しかし、同基地の建設をめぐっては建設会社の汚職や、労働者への賃金未払い、設計ミスなどが相次いで報告されており、先行きは不透明な情勢にある。

○4月ごろ: 中国の新型ロケット「長征七号」初打ち上げ、海南島の新宇宙センターから

中国の新しい中型ロケット「長征七号」が、同様に新しく建設された文昌衛星発射センターから打ち上げられる。

中国は昨年、新型の小型ロケット「長征六号」の打ち上げに成功したが、七号はその技術を使い、中型ロケットにしたもの。運用が始まれば、現在使われている「長征二号」や「長征三号」を代替し、低軌道衛星や静止衛星、有人宇宙船の打ち上げなどに使われることになる。

文昌衛星発射センターは、中国のハワイとも呼ばれる海南島に新たに建設されたロケット発射場で、赤道に近く、静止衛星の打ち上げには適している。また打ち上げ方向はすべて海に面しているため、分離した機体やフェアリングなどを海上に安全に投棄することが可能となる。

○5月31日: 改良型「アンタリーズ」ロケットの初打ち上げ

「アンタリーズ」は米国のオービタルATK社が開発したロケットで、2010年10月に5号機の打ち上げに失敗。以来、打ち上げ停止の状態が続いている。

失敗の原因は第1段のロケット・エンジンにあったとみられている。このエンジンは今から40年以上前にソヴィエト連邦で製造されたもので、性能は高いものの、設計の古さや信頼性の不足などがかねてより指摘されていた。

同社では同エンジンの使用を止め、ロシアが新たに開発したエンジンを輸入して搭載して、改良型のアンタリーズを開発している。すでに機体はほぼ完成しており、近々燃焼試験が行われたのち、5月31日に打ち上げが行われる予定となっている。

○5月ごろ: 超重ロケット「ファルコン・ヘヴィ」の初打ち上げ

ファルコン9ロケットの着陸成功などで話題を集めている米国のスペースX社は、並行して超大型のロケット「ファルコン・ヘヴィ」の開発も進めている。

ファルコン・ヘヴィはファルコン9の機体を3基使って構成されており、地球低軌道に最大で53トンもの物資を打ち上げることができる。これは現在運用されているロケットの中で最強である米国の「デルタIVヘヴィ」やロシアの「プラトーンM」の2倍以上にもなる。

また打ち上げ能力は落ちるものの、ファルコン・ヘヴィも機体を着陸させ、再使用することが可能とされる。

○6月21日: ロシアの新型宇宙船「サユースMS」、初打ち上げ

ロシアは昨年12月、さまざまな新技術を導入した新型の無人補給船「プラグリェースMS」の1号機の打ち上げに成功し、現在もISSに係留されている。そして、その技術を有人宇宙船にも採用した「サユースMS」の開発も進められており、6月21日にも打ち上げられる。

この打ち上げには、ROSKOSMOSのアナトーリィ・イヴァニーシン飛行士、キャスリーン・ルービンズ飛行士、そしてJAXAの大西卓哉飛行士が搭乗する。

【参考】




(鳥嶋真也)