魔娑斗

写真拡大

 TBSで昨年大みそかに放送された『史上最大の限界バトル KYOKUGEN 2015』内で実現した、“K-1のカリスマ”魔裟斗の6年ぶりの復帰戦に失望した視聴者も多かったことだろう。

 2009年大みそかの『Dynamite!!』でのアンディ・サワー戦で引退して以来の試合となった魔裟斗は、山本“KID”徳郁と対戦。両者は04年大みそかにK-1ルールで激突し、魔裟斗が判定勝ちを収めており、実に11年ぶりの対戦となった。11年もの月日を経て邂逅した2人の試合に、胸躍ったファンも少なくなかったはず。

 ところが、そこで繰り広げられた一戦は、ファンの期待を無残に打ち砕くものとなった。同日、TBSは2人の会場入りからドキュメント風に追ったが、まったく緊張感はなし。試合開始直前には、会場内で家族へのインタビューが始まる始末だった。

 さらに、当初は3分5ラウンドのK-1ルールとされていたが、いつの間にか3分3ラウンドに変更。いざ試合となると、「大みそかのゴールデン帯で、全身タトゥーは好ましくない」との同局の判断もあり、KIDはシャツを着用したまま。

 KIDは距離を取り、中に入ることはほとんどせず防戦一方。攻めていったのはおおむね魔裟斗だけ。一見すると、KIDにまるでヤル気が見えない展開となった。両者は3ラウンドを闘い抜き、2ラウンドにダウンを奪った魔裟斗が3-0の判定勝ち。試合後には勝者の魔裟斗のみならず、KIDまで子どもをリングに上げ、さらにシャツを脱いで、タトゥーをさらすハプニングもあった。

 控室に戻ってからは、真剣勝負をしたばかりであるはずの2人が、並んでインタビューに応じた。特に負けた悔しさも見せなかったKIDは、スタッフに促されて慌てて上着を着る一幕もあった。

 この試合に関する各スポーツ紙の報道状況は、冷ややか。これだけのビッグカードだったにもかかわらず、スルーしたマスコミも多く、デイリースポーツやサンケイスポーツは“エキシビションマッチ(模範試合)”と明記した。

「TBSはガチンコを装いましたが、この一戦はエキシビションマッチというか、番組の一コーナーであり、アトラクション。ですから、取材自体をスルーしたマスコミも多かったようです。魔裟斗のための試合ですから、KIDはあえて倒しにいかず、黒子に徹したため、こんな展開になったんです。そもそも、エキシビションマッチは優劣をつけるものではなく、判定などナンセンス。ジャッジ自体、誰が採点したかすらわからず、説得力もない。番組は、あくまでも6年ぶりに復帰した魔裟斗を主役としたもので、勝ってエンディングにしたかったのでしょう。しかし、この試合がガチンコだったかどうかは一目瞭然。真剣勝負を期待していた視聴者は、ガッカリしたでしょう。まさに“世紀の大茶番”です」(格闘技ライター)

 視聴率的には、この試合が放送された時間帯(午後10時〜10時52分)は9.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、フジテレビ『RIZIN』(午後8時45分〜10時30分)の7.3%を上回ったが、1ケタ台では喜んでもいられない。

「魔裟斗は試合後、『もうリングには上がらない』と発言していましたが、引退後のタレント活動は、旅番組でお茶を濁している程度で、順調にいっているとは思えません。さすがに今年はないでしょうが、数年後にまたTBSから大金を積まれたら、やりかねないと思います。今回は『子どもに闘う姿を見せたい』との理由で復帰しましたが、そのときはまた違う“理由づけ”をして、リングに上がる可能性も高いでしょう」(同)

 KIDと契約するUFCとの問題もあり、こういった形になったようだが、TBSが最初からエキシビションマッチとうたっていたら、2人が批判されることもなかったであろう。あえて魔裟斗の引き立て役を買って出たKIDにとっては、「ケガをしなくてよかった」といったところか……。
(文=森田英雄)