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シリコンバレー取材で出会った急成長する注目ベンチャーを、トップへのインタビューを交えて紹介する本短期連載。いずれの企業も「モノを繋ぐ」ことをビジネスにしているが、そのモノとは、スマートフォン(スマホ)やIoTから集積回路内部の相互配線までさまざまで、シリコンバレーの隆盛の原動力である「多様性」が垣間見えた。

第1回目となる今回は、Santa Claraに本拠を構え、スマホと大型ディスプレイやテレビをつなげる技術を提供する「Analogix Semiconductor」を紹介したい。同社は、デジタルマルチメディア・インタフェースICを企画・設計・販売する専業ファブレス・ベンチャーである。

同社マーケティング担当副社長のAndre Bouwer氏(図1)は、「スマホやタブレットのUSB Type-C接続コネクタ/ケーブルへの対応を近く1チップで実現し低コスト化を図る」と語り、今後は、USB Type-Cケーブル1本で、スマホもPCもタブレットもテレビも大型ディスプレイも繋がるようにしたいと抱負を述べる。

同社はスマホの画像を大型ディスプレイやテレビ受像機で視聴するためのインタフェースICを開発するとともに、それを搭載し、VGA、DVI、HDMI、DisplayPortなどへ接続するためのアダプタケーブル「SlimPort」(図2)をAmazonなどのネットショップを通してエンドユーザーにも販売している。これを用いると、スマホのビデオゲームを大型画面で楽しんだり、スマホを使って大型スクリーンでスポーツ観戦したり、PCの代わりにスマホを使ってプレゼンテーションすることができる。

○USB Type-Cを使ってケーブル1本ですべて接続

ところで、新しいオープン標準規格の「USB Type-Cコネクタ」(図4)がAppleの「MacBook」やGoogleの「CromeBook」などに搭載され話題となっている。USB Type-Cは、2014年8月に「USB Implementers Forum」によって規格化されたケーブル/コネクタで、PCやタブレットやスマホでも搭載する製品が徐々に増えつつある。これが普及すれば、将来はいままでのように接続コネクタが何かを気にすることなく、1本のケーブルですべての機器につなげることができるようになる。

USB Type-Cには次のような特徴(長所)があるため、将来、幅広く普及することが期待されている。

・AppleのLightningケーブルと同様に、裏と表の区別がなく、逆差しのトラブルがない
・薄く小型(横8.34mm×縦2.40mmの楕円形)なため、ラップトップをさらに薄くでき、電話やタブレットにもポートを付けてもかさばらない
・データ転送速度がUSB 3.0の倍となる最大10Gbpsと速いUSB 3.1に対応しており、その分データを移動するときの待ち時間が短くなる
・動画の転送が双方向で可能(MHL Alternative Modeなど)
・電力も送れるので充電も可能(最大100W)
・後方互換性があるので、既存の古いポートにも接続可能(アダプタは必要)
・他のUSB規格と同様、オープン標準で誰でも活用できる

○車載市場開拓をめざす

Analogixは、スマホがUSB Type-Cに対応できるようにするため、数個の半導体チップセットを使用してきた。これを1チップで対応できるようにするため、新たなチップ「ANX76XX」を開発している。これにより、Type-C対応に必要な半導体部品コスト(部品点数)が2014年の4ドル(5個)、2015年の2ドル(ANX7816とANX7418の2個)から、2016年には1ドル(ANX76XXのみ)へと削減できるという。

前出のBouwer氏は「やがて、フル機能を搭載したUSB Type-CケーブルがHDMIケーブルはもとより、すべてのケーブルを置き換え、電力、データ、映像を伝送するためのユビキタスな手段になるだろう。機器メーカーは設計フットプリントの小型化、部品点数の削減、製品化時間の短縮を実現できる。AnalogixはUSB Type-C実装のあらゆるニーズにワンストップで対応できる」と述べている。

同社は、2015年末に、中国の急成長デザインハウス「Beijing Pinecone Electronics(北京松果電子)」にUSB Type-C接続のIPをライセンスしたと発表した。北京松果は、このIPコアを搭載したスマホの設計を開始し、中国製スマホへのUSB Type-Cの普及を図っていくという。

なお、Analogixでは、スマホに加えて、2016年にも一部のテレビにType-C端子が採用され、2017年には、車載ディスプレイ(図6)にも採用されるとみて、今後、車載市場を開拓しようと期待をかけている。

(服部毅)