『Wassup! NYC_ニューヨークヒップホップガイド (音楽と文化を旅するガイドブック)』水谷光孝 トランスワールドジャパン

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 1967年にジャマイカから米ニューヨーク・ブロンクスに移住してきた、クライヴ・キャンベルことDJクール・ハーク。今から40年以上前の1973年8月11日、ブロンクス区セジウィック通り1520番地の公営住宅1階の娯楽室で、彼はあるパーティを主催します。

 その際、移動式の巨大なスピーカーやアンプ、ターンテーブルといった、父親所有のジャマイカ式サウンドシステムを用いたところ大盛況。地元で評判となり、ついには野外でブロック・パーティをはじめるまでに。

 そしてDJをしているうち、若者たちが楽曲のストリングスや歌のパートではなく、間奏のリズム・ブレイクの部分に最も盛り上がっていることに気がついたハークは、その部分を引き延ばすため、2台のターンテーブルと2枚の同じレコードを用意し、それぞれのブレイクを交互にプレイ。そのプレイスタイルは瞬く間に若者の間で広まっていったといいます。

 書籍『Wassup! NYC ニューヨークヒップホップガイド』では、ヒップホップが誕生した場所――ブロンクスのセジウィック通り1520番地にはじまり、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、スタテン・アイランドなどN.Yにおける、100ヵ所以上ものヒップホップにまつわるスポットを紹介していきます。

 たとえば、ブロンクスの大通りであるグランド・コンコースと166丁目の角にあるのは、このクール・ハークの壁画。2013年、ヒップホップの誕生から40周年を記念してN.Yのグラフィティアート集団「タッツ・クルー」によって描かれたものです。

 また140丁目から161丁目までのグランド・コンコース沿いには、ブロンクス出身の政治家、スポーツ選手、俳優、ミュージシャンなどの名前の書かれた黄色いストリートサインが設置されているそう。

 ヒップホップ界からは、アフリカ・バンバータ、グランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス・ファイヴ、クールDJレッド・アラート、グランドマスター・カズ、ロック・ステディー・クルー、グランドウィザード・セオドア、カーティス・ブロウ、KRS・ワン、ファット・ジョー、スウィズ・ビーツらの名が掲げられているのだといいます。

 ジャケットやミュージックビデオの撮影地、街中にある壁画やアーティストの経営するレストランなど、本書を頼りにヒップホップという観点からニューヨークを巡ってみるのも楽しいかもしれません。