2016年が明けた。今年の干支は申。午年の一昨年未年の昨年に続き、今年も年男・年女の著名人を見ていきたい。まずはことし満60歳で還暦を迎える丙申(ひのえさる/へいしん)の人たちから。

1956(昭和31)年生まれ


この元日に俳優の役所広司が還暦を迎えた。映画「Shall we ダンス?」(1996年)で共演した竹中直人、監督の周防正行もやはり1956年生まれで今年還暦である。

1月3日には小堺一機も還暦を迎える。「ライオンのいただきます」から現在の「ライオンのごきげんよう」まで31年にわたってフジテレビのお昼の番組の司会を務めてきた小堺だが、その枠も今年3月に幕を閉じる。

1956年生まれの著名人ではこのほか、ミュージシャンの桑田佳祐、佐野元春、長渕剛、作家で元長野県知事・衆院議員の田中康夫、小説家の大沢在昌、荻野アンナ、奥泉光、玄侑宗久、笙野頼子、百田尚樹、保坂和志、コラムニストの泉麻人、劇作家・演出家の宮沢章夫、ノンフィクション作家の井田真木子(2001年没)、マンガ家の江口寿史、吉田秋生、俳優の大地真央、永島敏行、余貴美子、建築家の妹島和世、アスキー創業者の西和彦、元タレントの島田紳助などといった人たちがあげられる。


70年代にアイドルとしてデビューした歌手の野口五郎、浅田美代子、元キャンディーズの藤村美樹、田中好子(2011年没)はその後、結婚したり俳優として活躍したりとそれぞれの道を歩んだ。スポーツ界に目を向ければ、マラソン選手・指導者の瀬古利彦と、1998年のサッカー日本代表がFIFAワールドカップ本選に初出場したときの監督・岡田武史は同い年にして早稲田大学の同窓生だ。

1920(大正9)年生まれ 庚申(かのえさる/こうしん)


今年96歳だけにあがる著名人もほとんどが故人だ。昨年8月に亡くなった阿川弘之は、同い年の安岡章太郎と近藤啓太郎らとともに昭和20年代後半に文壇にデビューし、第一次・第二次戦後派に続く「第三の新人」と呼ばれた。

日本映画の黄金時代の大スターである三船敏郎、昨年訃報が伝えられた原節子のほか、山口淑子(李香蘭)、森光子とこの年生まれには名優が目立つ。このうち森には亡くなってから国民栄誉賞が贈られたが、「七人の侍」はじめ黒澤明監督の映画に出演し世界的に知られる三船敏郎には授与されなかった。最近電子書籍化もされた松田美智子の『サムライ 評伝 三船敏郎』によれば、時の首相・橋本龍太郎の側に事情があって受賞が見送られたらしい。

1920年生まれの著名人としては、作家・作詞家の川内康範、民族学者の梅棹忠夫、前衛短歌の旗手として知られる塚本邦雄の名前もあげておきたい。昨年をもって「紅白歌合戦」から卒業を宣言した森進一は、その最後のステージで川内作詞の「おふくろさん」を熱唱した。

NHKつながりでは、今年4月からの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」のモデルとなる、雑誌「暮しの手帖」の編集者・大橋鎮子もこの年の生まれ。彼女以外にもマンガ家の長谷川町子、漫才師のミヤコ蝶々、夫・市川崑の監督作品で脚本を手がけた和田夏十、「猿橋賞」にその名を残す地球化学者の猿橋勝子と、各分野における女性進出の先駆者たちが並ぶ。

1932(昭和7)年生まれ 壬申(みずのえさる/じんしん)


冒頭にあげた役所広司の芸名は、俳優になる前に区役所の土木工事課に勤務していたことからつけられた。その名づけ親で俳優養成所「無名塾」を主宰する名優・仲代達矢は役所より二回り上の申年だ。昨年には文化勲章も受けた。同い年の俳優にはほかに岸恵子、田中邦衛、クレージーキャッツのメンバーとして世に出た谷啓らがいる。

石原慎太郎が一橋大学在学中の1955年に書いた小説『太陽の季節』は文学界新人賞を受賞、翌年には芥川賞にも選ばれた。申年生まれの石原は、芥川賞受賞も申年なら、さらに参院選で当選した1968年も申年だった。その後、衆院に鞍替えし東京都知事も務めたことは周知のとおり。参院議員時代の石原の同期にして同い年にはタレントの青島幸男と横山ノックがいるが、青島・ノックもまた、それぞれ東京都知事・大阪府知事となった。

いまなおベストセラーを連発している小説家の五木寛之は、石原慎太郎と誕生日が同じ9月30日。直木賞も受賞している前出の青島幸男といい、小田実、黒井千次、後藤明生、小林信彦、平岩弓枝とこの年に生まれた作家は少なくない。文芸評論家の江藤淳、ジャーナリストの本多勝一も含め、論客として活躍した書き手も目立つ。

1932年生まれの著名人にはこのほか、映画監督の大島渚、マンガ家の白土三平、滝田ゆう、作曲家の遠藤実、小林亜星、船村徹、歌手のフランク永井などがいる。

1944(昭和19年)生まれ 甲申(きのえさる/こうしん)


昨年、書評誌「本の雑誌」が菊池寛賞を受賞した。同誌はいまから40年前の1976年、椎名誠と菊池仁、目黒孝二が創刊したものだが、このうち椎名と菊池が1944年生まれの申年である。文筆の世界では椎名のほか、写真家・作家の藤原新也、ドキュメンタリー作家の大下英治、評論家の川本三郎、小説家の出久根達郎、船戸与一、宮内勝典、芥川賞作家でジャーナリストの辺見庸といった人たちがやはり同い年だ。

ほかの分野では、俳優の江守徹、杉良太郎、高橋英樹、竹脇無我、原田大二郎、前田吟、吉田日出子、渡瀬恒彦、フォーク歌手・俳優のマイク眞木、歌舞伎役者の片岡仁左衛門(15代目)、中村吉右衛門(2代目)、シンガーソングライターの小椋佳、漫才師の横山やすし、キャスターの久米宏、久米と早大の同窓生である元外相の田中眞紀子、イラストレーターの矢吹申彦、ファッションデザイナーの山本寛斎、ピアニストの中村紘子、人形作家の四谷シモン、物理学者の小林誠(2008年のノーベル物理学賞受賞者)といった名前があげられる。歌手の舟木一夫は、12年前の還暦で赤いチャンチャンコならぬ詰襟の学生服で祝われていたのを思い出す。1963年のデビュー曲にしてヒット曲「高校三年生」にちなんだものだ。

アスリートでは、サッカーの釜本邦茂は24歳で年男だった1968年のメキシコオリンピックにサッカー日本代表として出場、銅メダル獲得に貢献した。また、1964年に米メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツと契約し、日本人初のメジャーリーガーとなった村上雅則もこの年の生まれ。しかし「マッシー・ムラカミ」のあと、じつに30年ものあいだ日本人メジャーリーガーは現れなかった。

1968(昭和43)年生まれ 戊申(つちのえさる/ぼしん)


長い空白期を経て、1995年に日本人2人目のメジャーリーガーとなった野茂英雄もまた申年だった。野茂の活躍を契機として日本から続々と有力選手がメジャーに移籍する。一昨年、彼と同時に野球殿堂入りした佐々木主浩もそのひとり。球界では野茂と佐々木のほか、今シーズンより阪神タイガースを指揮する金本知憲などがこの年に生まれている。

1968年生まれの小説家には阿部和重、岩崎夏海、金城一紀、鷺沢萠、佐藤賢一、瀬名秀明、貫井徳郎、福井晴敏、柳美里、森絵都、吉田修一がおり、物書きの当たり年といった感がある。当エキレビ!でもおなじみ書評家の杉江松恋と歌人の枡野浩一のお二方も年男だ。

歌手の長山洋子、俳優の内野聖陽、大沢たかお、佐々木蔵之介、鈴木京香、夏川結衣、松下由樹、渡部篤郎、タレントの杉本彩、バラドルと呼ばれた井森美幸、森口博子と、ミュージシャンの小沢健二など芸能人も多い。アイドル出身のタレント・菊池桃子は昨年、安倍首相の肝煎りで設置された「1億総活躍国民会議」の民間議員となり、子育ての経験を踏まえた発言で話題を呼んだ。一昨年、咽喉がんで声帯を全摘しながらなお精力的に活動を続けるミュージシャンのつんくも特筆される。

このほか1968年生まれの著名人には、スキージャンプの原田雅彦、元力士・タレントの舞の海秀平、宇宙飛行士の星出彰彦などがあげられる。

1980(昭和55)年生まれ 庚申(かのえさる/こうしん)


プロ野球ではこの年に生まれた選手が「松坂世代」と呼ばれた。横浜高校時代から活躍した松坂大輔の名からとったもので、ほかに新垣渚、木佐貫洋、小谷野栄一、杉内俊哉、梵英心、藤川球児、村田修一などの選手がいる。ほかの競技では、大相撲の第68代横綱の朝青龍、陸上の末續慎吾、柔道の鈴木桂治、サッカーの遠藤保仁などがこの年の生まれ。Jリーグ・ガンバ大阪所属の遠藤は昨年末、2年連続、歴代最多12回目のベストイレブンに選ばれている。

昨年7月に芥川賞を受賞しベストセラーとなった『火花』の著者で、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹も1980年生まれの年男。作家ではまた藤野可織、今村夏子が同い年だ。

又吉以外に芸能界の1980年生まれには、大野智(嵐)、岡田准一(V6)、小池栄子、妻夫木聡、田畑智子などがいる。30代でグラビアアイドルとしてブレイクした壇蜜と、15歳でデビューして人気を集めた広末涼子が同い年というのが面白い。やはり同い年の田中麗奈はデビュー当時「ポスト広末」などと呼ばれたものだが、いまやそんなことは忘れ去られ、女優として独自の道を歩んでいる。

1992(平成4)年生まれ 壬申(みずのえさる/じんしん)


昨年末のAKB48結成10周年の記念公演では、1992年生まれの横山由依が、1つ年上の高橋みなみに続く2代目AKB48グループ総監督に就任した。同い年では、AKB481期生の峯岸みなみ、HKT48の指原莉乃、さらに昨年紅白歌合戦に初出場した乃木坂46の白石麻衣、新内眞衣、松村沙友理、℃-uteの矢島舞美などが現役アイドルとして活躍中。

1992年生まれの著名人としてはこのほか、一時期「オスカー三人娘」とも呼ばれた剛力彩芽と忽那汐里(三人娘のうち残る武井咲は一つ年下)、染谷将太、本田翼、トリンドル玲奈などの俳優・タレント、プロゴルファーの松山英樹、また昨年の安保関連法案をめぐる反対運動で一躍注目された「SEALDs」の中心的メンバー・奥田愛基があげられる。
(近藤正高)