休みの日はつい長時間寝たくなってしまうが

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年末の忙しさもあって、新年早々寝正月に、というパターンに覚えがある人もいるのではないだろうか。睡眠とは脳と体を休息させるために必要なものであり、仕事で疲れているから、休日はぐっすり寝たいと考えるのはおかしなことではない。

しかし、「普段は7時起きだが、休日は10時過ぎまでぐっすり」のような「寝すぎ」「寝だめ」には、多くの健康リスクがあることを、複数の研究が指摘しているのだ。

平日と休日の睡眠時間差が危険

2010年にNHKが実施した「国民生活時間調査」では、平日の平均睡眠時間は7時間14分で、1970年以来最低だという。年齢、性別で見ると、最も短いのは40代女性の6時間28分となっている。

これに対し、土曜日は7時間37分、日曜日は7時間59分。数十分の違いに思えるが、平均値であることを考えると、多くの人が休日はいつもより長めに寝ている傾向にあるのは間違いなさそうだ。

しかし、こうした平日と休日の睡眠時間のズレが「社会的な時差ボケ」となり、肥満や心血管疾患のリスクを大きく上昇させる、と指摘する論文が、米ピッツバーグ大学によって2015年11月18日、内分泌・代謝領域の専門誌「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」オンライン版で発表された。

研究では、30〜54歳の働いている健康な男女447人の睡眠時間と運動量、食生活、健康状態を調査。

その結果、平日と休日の睡眠時間の差が大きくなるほど、運動量やカロリー摂取量に関係なく、コレステロール値や空腹時血糖値が悪化しており、インスリン抵抗性も高く、ウエスト、BMIも増大している傾向にあったという。相関関係が確認されているわけではないが、糖尿病や心血管疾患のリスクが高くなっていたということになる。

調査によると、平日と休日の睡眠時間の差は平均44分で、特別長く寝だめしているわけでもなく、NHKの調査が示す日本人の傾向とほとんど変わらない。

なるべく平日と休日の差をなくしていきたいところだが、実際にどの程度の睡眠時間を確保すればいいのだろうか。

睡眠時間は多くても少なくてもダメ

まず、平日の睡眠時間が4時間しかないので、休日も4時間睡眠に......、というのは論外だろう。6時間以下では健康リスクがあるという医学的な研究は、紹介しきれないほど大量に存在し、死亡率上昇や認知機能低下、うつ病発症リスクと内容もさまざまだ。

ここ数年の研究を見ても、2013年に米疾病管理予防センターが血圧上昇と肥満、糖尿病、心疾患の有病率が増加すると指摘。さらに同年、国立精神・神経医療研究センターが、抑うつ状態になり不安感が強まると、2015年9月には米カリフォルニア大学が風邪の発症リスクが増加すると発表している。百害あって一利なしだ。

では、可能な限り長時間寝続ければよいかというと、そうでもない。2002年に米がん協会が約110万人を対象におこなった追跡調査では、睡眠時間が短い人だけでなく、8時間以上の人も死亡率が高くなっていた。高血圧、糖尿病、心血管疾患リスクも指摘されており、6時間以下とリスクの内容もほとんど変わらない。

日本人を対象にした研究でも、2004年に名古屋大学が11万人を調査し、睡眠時間が7時間より短くても、長くても、死亡率が高くなる傾向を示すとしている。

理想的な睡眠時間は7〜8時間、というのはよく聞く話だが、ここまでの研究を見ても、短すぎず長すぎない、ほどよい睡眠時間であると考えられる。

もちろん、体調や精神状態によって、睡眠時間に変動はありえるし、「何としても7~8時間寝なければいけない」と考えながら寝るのもよくはない。自分の状態に気を配りながら、バランスよく睡眠をとるのが大切ということだろう。[監修:浜中聡子 AACクリニック銀座院長]

参考論文
ピッツバーグ大学
Social Jetlag, Chronotype, and Cardiometabolic Risk.
DOI: 10.1210/jc.2015-2923
 
米疾病管理予防センター
Sleep duration and chronic diseases among U.S. adults age 45 years and older: evidence from the 2010 Behavioral Risk Factor Surveillance System.
DOI: 10.5665/sleep.3028. PMID: 24082301
 
国立精神・神経医療研究センター
Sleep debt elicits negative emotional reaction through diminished amygdala-anterior cingulate functional connectivity.
DOI: 10.1371/journal.pone.0056578. PMID: 23418586
 
米がん協会
Mortality associated with sleep duration and insomnia.
DOI: 10.1001/archpsyc.59.2.131. PMID: 11825133
 
名古屋大学
Self-Reported Sleep Duration as a Predictor of All-Cause Mortality: Results from the JACC Study, Japan.
PMID: 14998237

(Aging Style)