学生の窓口編集部

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ところ変われば大きく変わる「食材」。日本ではなじみのないエミューやダチョウがおいしく食べられるか? が研究されているのはご存じでしょうか?

世界最大の鳥であるダチョウは、海外ではメジャーな食材で、牛と比べて脂肪が5分の1、カロリーはおよそ半分とヘルシーな肉が特徴。日本の気候でも飼育可能なことから多くの「牧場」が誕生しています。2番目に大きいエミューの卵は「緑色」の尻込みするビジュアルとは裏腹に、泡立ちも良く加熱しても柔らかいのが特徴。オムレツやどら焼きなど、多くのレシピが誕生しているのです。

■エミューの卵は「どら焼き」向き

ダチョウを知らないひとはいないでしょうから、エミューの説明を簡単にしておきましょう。ダチョウに次いで大きな鳥・エミューは、お察しの通りダチョウの親戚にあたる鳥ですが、気性がおだやかなのが大きな違い。攻撃性が低く飼育も容易なためで、日本でも食用として注目を集めています。豚もも肉と比較すると、

 ・脂肪 … 8分の1

 ・タンパク質 … 同等

 ・鉄分 … 10倍

と栄養豊富。低脂肪・高鉄分な特徴はダチョウも同じで、海外では古くから食用として愛されています。動物なのに植物性に近い脂肪は「エミュー油」と呼ばれ、医薬品や化粧品への活用に期待がもたれるなど、あらゆる分野で大活躍する可能性を秘めているのです。

なかでも特徴的なのはエミューの卵で、

 ・ラグビーボール状

 ・長さ10cm、重さ500g程度

 ・緑色

と文字通り異色。鶏卵の8〜10倍と大きく、食欲をそそらないビジュアルに反して意外に料理向き、鶏卵と比べて、

 ・泡立ちが良い

 ・加熱しても柔らかい

なため、オムレツ向き。東京農業大学では「どら焼き」を販売していることからも、フワフワな料理にもってこいの卵なのです。

■ダチョウの卵でなめらかプリン

本家のダチョウも負けてはいません。重さ1kg超、鶏卵20個分にも及ぶ巨大な卵は甘み/なめらかさとも良好で、おいしい「プリン」が作れるという研究結果もあるのです。

ダチョウの卵と鶏卵でプリンを作り、味を比較する「官能検査」の結果をダチョウ vs ニワトリの順に挙げると、

 ・甘み … 1.5 : 1.2

 ・やわらかさ … 1.7 : 0.3

 ・なめらかさ … 2.2 : -0.5

と圧勝。これは卵白に水分が多く含まれていることと、エミューと同様に熱しても固くなりにくい性質からで、機械で測定したところ鶏卵プリンの8分の1の固さとのデータもあります。

官能検査には人間の主観も含まれるので、誰もが納得できる結果ではないかも知れませんが、タンパク質の特徴からもプリン向きなのは明らか。逆に「目玉焼き」ではなかなか焼けず、水っぽいとも言われています。肉や卵を提供しているダチョウ牧場も増えていますので、機会があればぜひチャレンジしてください。

■まとめ

 ・ダチョウやエミューの肉は、低脂肪で鉄分豊富

 ・エミューの脂肪は植物性寄りで、薬や化粧品への応用が研究されている

 ・エミューの卵はアボカドのような「緑色」。泡立ちが良くオムレツやどら焼き向き

 ・ダチョウの卵を使ったプリンは鶏卵のものよりもおいしい! という研究結果あり

(関口 寿/ガリレオワークス)